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2014年登場。広島地区では1982年に製造された115系3000番台以降直接の新車は投入されておらず、京阪神地区等で余剰となった車両をまわし、旧型車両を置き換えるという手法がJR西日本になっても長らく行われていた。同地区を走る車両は体質改善工事を施工されている車両も多いが、老朽化の進んだ車両も多く存在していた。これにより、これら国鉄時代に製造された車両を新造車両で置き換え、広島地区の車両の体質改善を図ることとなったが、この目的に元に製造された車両が227系で、前述したとおり直接の新造車の投入は1982年以来、JR西日本になってからは初の広島地区向けの新形式車両となった。全長20mのステンレス合金製3扉車体(前面は普通鋼製)で、基本的には521系3次車と同等のデザインとなっており、万一の事故に備え側面の強度が強められ、前面はクラッシャブルゾーンを有するほか、両脇には赤く着色された転落防止幌を備える。転落防止幌のみならず、基本的な塗装は同車の投入される広島を象徴する「赤」で占められている。また同車はJR西日本の在来線車両では初めて、行き先表示器がフルカラーLEDとなった。このフルカラーLEDの特徴を活かし、種別表示の部分は路線番号も表記され、更に路線別に色分けがなされている。制御方式はIGBT-VVVFインバーター制御方式で、321系以来主流となっている「0.5M方式」を採用している。これにより各車両の重量がほぼ均等になる他、機器構成の効率化も図られている。227系の特徴として「新保安システム」と称される車両情報システムを搭載した点が挙げられる。車両自体にデータベースを登録し、情報伝送量を225系の10倍とし、かつ冗長性を確保することで、走行区間の特性に見合った車両制御及び運転支援が可能となるというものである(このシステムは地上での準備が終わり次第順次導入される)。この装置の導入と合わせ、JR西日本の車両としては初めてグラスコクピットを採用している。車内は転換クロスシート基調のセミクロスシートで、座席モケットはテーマカラーである赤色を基調としたものになっている。制御車に車椅子スペースが設けられており、下り方のクモハ226形には車いす対応用の大型トイレを備えている。車内案内表示はLED式で、扉鴨居部に千鳥配置されている。また車内灯を全てLEDとすることで、電球の省エネ化及び高寿命化も図られた。227系は2014年秋以降順次落成した後2015年3月のダイヤ改正より営業運転を開始したが、営業運転開始直前に「Red Wing」という愛称が付けられ、各所にロゴマークが貼り付けられた。当初は主に103系の運用を継承し呉線系統を中心に投入されたものの、その後は徐々に勢力を伸ばしつつある。最終的には2018年度までに276両が製造される計画で、既存車との置き換えが進められる。
2015,06,07 新井口 |