710形は1959年に登場した車両である。1957年に製造された700形の改良型といえる車両で、側面の意匠は700形に類似しているものの、こちらは同時期に製造されていた東京都電8000形の設計も取り込まれており、700形が2枚窓であったのに対しこちらは中央に大型二段窓、その左右に開閉可能な小窓を配した3枚窓スタイルとなっている。700形で特徴的だった防振台車は保守性に難があったことから採用されなかったが、制御方式に函館市電の車両として初めて間接自動制御方式が採用された点が同車の特徴といえる。ただしこの制御方式は初期故障に悩まされ、後継の800形には採用されなかった。登場の後、1968年には全車ワンマン化されている。710形は1961年までに14両というまとまった両数が製造されており、更に車体デザインが他車にも影響を与えていることから函館市電において戦後を代表する車両であるといえ、路線縮小や後継車両への置き換えを経て往年に比べて数を減らしつつあるものの、引き続き主力車両の一つとして活躍している。尚、全車とも新潟鐵工所にて製造されているが711号車のみ1985年に国鉄五稜郭工場にて車体更新がなされて軽快電車風のデザインとなっていた。ただし同車は2010年に運用を離脱している。2019年からは本系列が車体更新の対象となり、2024年時点では2両が7000形への改造種車となっている。 2007,09,07 駒場車庫(敷地外より撮影) |
■Variation |