キクハ32形
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キハ32形:キハ32形・キクハ32形
 JR四国では国鉄時代末期から予土線でトロッコ列車「清流しまんと号」を走行させており、根強い人気を誇っていた。これに加え新たにトロッコ車両を導入するにあたり新造された車両がこのキクハ32形で、1号車は1997年に製造された。「清流しまんと号」に使用されていたトロッコ車両は貨車改造の車両であったが、こちらは動力はないものの運転台を有す制御気動車として新規に製造された。全長15.8mの普通鋼製で、廃車発生品の台車を搭載することもあり、特徴が似通っているキハ32形の一グループとされたが、同車はキハ185系ないしキハ54形を動力車として使用することが想定されたことからブレーキ方式が通常のキハ32形とは異なり、それ故車番が500番台と区別されている。塗装は当初はエメラルドグリーンを基調にしたものであった。トロッコ車両であるため側面は窓がなく開口しているが、転落防止用に柵が設けられている他、運用のない時等に開口部を塞ぐことができるようになっている。運転台は片方のみ設置されており、背後に乗降用の折り戸を備えている。造形は全体的にシンプルにまとまっているといえる。車内は他地区のトロッコ車両にもみられる、難燃木材を用いたボックスシートが展開し、天板がなく骨組みがむき出しとなっているものとなっている。全体的に白基調でまとめられており、暗色を使用することの多いトロッコ車両の中では明るい印象となっている。車内照明はカバーが取り付けられた白熱灯調のものが採用されている。なお、乗務員室は半室構造となっており、半分はフリースペースとなっている。キクハ32形は当初1両が「清流しまんと号」の増便で使用され、後に「大歩危トロッコ」等土讃線を中心に使用された。2003年からは新たに瀬戸大橋線でもトロッコ列車を運転することとなり、キクハ32-502が増備された。こちらは開口部にアクリル板が設置され、下部にも小窓が新設されている他、定員がやや減少する等の仕様変更があるが、形態はほぼ501に準じている。こちらは2005年以降「アンパンマントロッコ」として大規模に塗装変更され、青地にアンパンマンのキャラクターが描かれたものに改められた。2012年には東日本大震災の復興支援の一環でJR東日本に貸し出され、東北・関東地方で特別列車として使用されたが、それに際しては耐寒工事が新たに施工された。2015年には更にイラストの変更がなされ、現在に至っている。501は長らく「大歩危トロッコ」を主体に使用されていたが、同列車の運転終了後、「志国高知 幕末維新博」にあわせ2017年にラッピングが施され、茶色基調に土佐藩の維新立役者等が描かれた姿に改められている。

 2015,05,03 高 松


■Variation
 アンパンマントロッコ初代塗装の頃のキクハ32-502。現在と異なり、併結されるキハ185はアンパンマン塗装となっていなかった。この姿の時にJR東日本へと貸し出されている。

 2008,08,10 岡 山
2017/11/03