キハ32形
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キハ32形:キハ32形・キクハ32形
 分割民営化を間近に控えた国鉄では、民営化後の経営基盤が脆弱とされた北海道・四国・九州向けに新造車両を製造することで、同地域に在籍していたキハ20系等の老朽車両の置き換えと、それに伴う車両体質改善や経営基盤の強化が図られた。この目的により製造された車両群のうち、1987年に製造された16m級1エンジン車両がキハ32形であり、全車両が四国に配備された。前述のとおり全長は16m級で、当時在籍していた国鉄の旅客車両としては最も車長が短い形式の一つとなった。同形式は新潟鐵工所と富士重工の二社で製造されているが、両社はいずれも当時国鉄転換の第3セクター向けの鉄道車両を製造しており、導入コスト削減を目的に、それらの製造技術を活用して製造されている。車体は普通鋼製で、前述のとおり当時第3セクター鉄道に導入されていた車両に類似した軽量構造の車体となった。側扉はバス用の折り戸が採用されており、ドアエンジンもバスタイプのものが使用されている。また、乗務員扉は存在しない。当初は所属別に異なった塗装となっており、アイボリー地をベースに徳島所属の車両が藍色、高知所属の車両が臙脂色、松山所属の車両が黄かん色のストライプ塗装がそれぞれ施されていたが、JR継承後にJR四国カラーに統一されている。機関は出力250PSの直噴式エンジンが1基搭載されており、これは新製されているが液体変速機や制動装置、更に台車は廃車発生品を改造の上で流用されており、これにより既存の気動車とは併結しての運転が可能となっている。尚、当初キハ32形は土讃線高知口など近距離運用を主眼に置かれていたが、後にキハ54形と共に四国山地を超える長距離運用にも用いられるようになったことから勾配対策用に砂撒き装置が追設されている他燃料の増強もなされた。車内はオールロングシート(非バケットタイプ)となっており、トイレの設備はない。また当初よりワンマン運転への準備工事がなされており、民営化後の1988年よりワンマン運転を開始している。冷暖房装置も導入コスト軽減のためにバス用のものが使用されている。キハ32形は1987年中に21両が製造されたが、この他「清流しまんと号」に続くトロッコ車両として、オープンタイプの制御気動車が1997年と2002年に1両ずつ製造されているが、全長16m級の鋼製気動車ということでキハ32形の一群とされ、「キクハ32形」という形式が付けられている。このキクハ32形を含めると23両の陣容で、現在は徳島所属の車両は転属していることから松山と高知に配備されている(キクハ32形は高松に配備)。前者は予讃線や予土線、後者は土讃線で使用されており、キハ54形と共に両線の主力車両の一つとなっている。現在は排障器の設置が行われている他、予土線等の観光輸送に用いるため、キハ32-4が2011年より「海洋堂ホビートレイン」として独自の塗装が施され、車内にショーケースが設けられる等の改造がされた。更にキハ32-3は0系新幹線に準じた塗装に改められた他、片方の前面には0系の前頭部を模したカバーが取り付けられる等、異彩を放つ外観となり「鉄道ホビートレイン」の愛称が付けられている。

 2015,08,23 八幡浜


■Variation
 キハ32 12号車以降の10両は富士重工で製造されている。新潟鐵工所製の車両とは異なり前照灯・尾灯が角型となっている他、アルミサッシが無塗装となっている点等が新潟鐵工所製の車両とは異なる。このグループは現在すべて高知運転区に配置されており、土讃線を中心に使用されている。また新潟鉄工所製の車両とは異なり、観光列車化改造・塗装変更はこのグループには行われていない。

 2013,12,30 高 知