キハ40形500番台
トップページ鉄道写真図鑑JR一般型気動車>キハ40形500番台
キハ40系:キハ40形300番台キハ40形350番台キハ40形400番台・キハ40形500番台・キハ40形700・1700番台
       キハ40形1000番台キハ40形2000番台キハ47形キハ41形
 キハ40形のうち500番台は、キハ10系列の置き換え等を目的に北海道向けの100番台に次いで1977年以降に製造されたグループであり、1982年までに94両が製造された。本グループは主に東北地方での使用が想定された寒地使用車両で、両端にデッキを備えた片側2つ扉である点は100番台と共通ながら、側窓は二重窓ではなく上段下降、下段上昇式のユニット窓が採用されている。車内は車端部がロングシート、それ以外がボックスシートのセミクロスシートで、100番台同様ボックスシートのシートピッチは1470oとなっている。暖房装置はキハ40系列共通で温風暖房が採用されており、既存車両以上の暖房能力の向上が図られている(暖房で用いる外気流入用のルーバーが側面に設けられている)。反面製造当初は全車とも非冷房で、トイレも汚物処理装置の搭載準備がされていたにとどまっていた(汚物処理装置は後に全車搭載)。走行機関としてはキハ40系列共通でDMF15HSA(出力220PS)が1基搭載されているが、従来の標準であるDMH17系列よりも出力は高いものの、自重増等もあり車両性能は従来車両と大差なく、かつ1エンジン車であるため特に民営化後は主に平坦線区での使用が目立つ結果となっている。台車については100番台と同じ空気バネ台車が採用されており、1978年製造分から台車に改良が加えられた点も同じ変遷をたどっている。500番台は高山本線用に7両が美濃太田に配置された他は東北、甲信越地方に配置されており、国鉄民営化に際しては美濃太田に残留した2両がJR東海に継承された他は全てJR東日本に継承された。JR東日本では一部の車両を対象に冷房化改造や機関換装が行われた他、各地域ごとに独自の塗装が施された。また、一部の車両はワンマン化改造や混雑対策からオールロングシートへの改造が行われ、施工車はデッキが撤去されている。更に「リゾートしらかみ」や「越乃Shu*Kura」などジョイフルトレインの種車となった車両も存在する。JR東海では同社標準塗装に改められた他、機関換装、ワンマン化により5500番台、5800番台へと改番が発生している。JR東海の同系列は2015年に全廃となっており、残るJR東日本でも老朽化からその活躍は縮小傾向にあり、2020年の時点では秋田所属の車両のみが残存する。現在残る車両もGV-E400系の増投入により置き換えが計画されており、2021年3月までに全て定期運用を退いた。なお、最後まで運用についていた車両のうち、五能線塗装を纏っていた1両(キハ40-535)は兵庫県の北条鉄道に譲渡されている。

 2007,09,05 川 部


■Variation
 盛岡地域色と呼ばれた白地に赤帯の塗装を纏う500番台。主に盛岡支社に在籍していたキハ40系列がこの塗装になっていた。機関出力の問題から同じ塗装を纏ったキハ58形やキハ52形とは異なり山田線や花輪線などの勾配線区には投入されず、平坦線区での運用が主体となっており、合間で電化線区の普通列車にも使用されていた。盛岡地区の他、青森地区でも津軽線や大湊線でも使用されたが、後継車への置き換えや使用線区の変更などがあり、末期は後述の機関更新車を含め八戸線(及び直通していた青い森鉄道線)に集約されていた。八戸線に在籍していたキハ40系列は全て非冷房のままで、冷房化されることなく2018年3月のダイヤ改正でキハE130形に置き換えられている。なお、500番台では1980年に製造された車両からは側面の縦樋が埋め込み式となっている。

 2014,05,04 本八戸
 盛岡支社に在籍したキハ40系列のうち、機関更新を受けた車両は運転台回りも含めて赤く塗装され、俗に「赤鬼」と称された。同系列のみならずキハ23形やキハ52形、キハ58形でも機関換装を受けた車両はこの塗装となり、長く盛岡・青森地区で親しまれた塗装であった。この塗装の車両も八戸線のキハ40形を最後に姿を消している。

 2016,05,04 八 戸
 仙台支社に在籍したキハ40系列は白地を基調に腰部に濃淡グリーンが配された塗装が採用された。同系列のみならずキハ23形やキハ52形、キハ58形もこの塗装を纏い、こちらも長らく親しまれた塗装であった。このうち小牛田に在籍した車両は陸羽東線や石巻線、気仙沼線で使用されたが、2015年までにキハ110系列等へ置き換えられており、以降は郡山に在籍する車両のみがこの塗装を纏っていた。郡山に在籍する車両は主に只見線で使用されたが、これも2020年3月のダイヤ改正でキハE120形に置き換えられている。

 2008,02,08 西若松〜会津本郷
 500番台のうち、1977年に製造された初期車20両については窓・座席配置や屋根上の水タンク形状、台車が以降の車両と異なっている。このグループは2000年代以降廃車が進み、冷房化改造を受けていた502のみ2020年まで使用されていた。なお、このグループのうち1両は会津鉄道に譲渡されており、キハ40系列における譲渡第1号となった。なお、只見線では列車無線が通じない区間があるため、通信確保用にNTTドコモの衛星電話用アンテナが端部に取り付けられている。同様のアンテナは津軽線で使用される車両にも取り付けられている。

 2017,06,25 会津若松
 新潟地区に配置されたキハ40形のうち、2000年代にリニューアルされた車両については上部を赤色、下部を白色とし、中間に赤と黒のラインが配された姿となった。それ以外のキハ40系列については原則として赤、青、白の3色塗装を纏っている。新潟地区のキハ40系列は磐越西線や羽越本線、米坂線、更に2011年以降は只見線小出口でも用いられた(米坂線は勾配線区のため、基本的には2エンジン車と混用されていた)。キハ110形やキハE120形等の後継車両に伍して活躍が続いたが、2019年から翌年にかけてGV-E400形に置き換えられており、2020年現在では只見線小出口のみで使用されている。なお、一部のキハ40形は車内がロングシート化されている。

 2009,08,26 越後石山
2022/04/10