9000系
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 1990年に試作車、翌年以降に量産車が順次投入された、南北線の初代車両である。既に他線では0×系車両が幅を利かせていたが、それらの線区と異なり新規開業線に導入された車両のため、初代車両という意味合いも込めて4桁の従来通りの形式があてがわれた。車体は東西線の05系をベースとしつつも、前面は曲面を多用したデザインとなり、より柔和な印象となっている。南北線は開通当初他地下鉄との接続がなかったため、数多くの新機軸を採用したが、車両面において特筆すべき点がATOによる自動運転の本格採用及びワンマン運転の導入・VVVFインバーター制御の採用である。前者は日比谷線での長期試験を元に導入され、加えてホームドアにも対応した設計となっている。また車両情報装置にはワンマン運転用の支線プログラムが取り入れられるなどワンマン運転に適応したものとなった。後者は当初GTO-VVVFインバーター制御方式が採用されたが、東京メトロの車両で同制御方式を本格的に採用したのは本系列のみとなっている。開業時は4連7本の陣容であったが、延伸および輸送力の増強に合わせ増備が進んだため、仕様の変更が生じている。例えば初期車は車端部にボックスシートを設けていたが、2次車以降では採用されていない。また行き先表示器も2次車からはLEDとなったが、1次車・試作車も後にLED化され、更に側面の表示器も使用されるようになった。また制御装置は2次車からIGBT-VVVFインバーター制御となり、4次車では車体工法が一部変更されている他当初より東急線への乗り入れ対応がなされている(他車は後天的改造)。2000年までに6連21本が製造されたところでいったん製造は途絶えたものの、2009年になって再び2本が製造された。この2本は従来車と大幅に違うデザインとなった他、車内へのLCDの設置など内外ともに大きな変化がみられる。現在はこの6連23本の陣容であり、埼玉高速鉄道から東急目黒線までの幅広い区間にて主力車両として使用されている。2016年からは初期車の修繕工事が開始されており、外観・内装に変化が生じている。なお、南北線の車両は2022年度を目安に8連化が予定されており、今後の車両動向が気にかかる形式といえる。

 2012,02,10 新丸子


■Variation
 初期に製造された車両は当初行き先表示が字幕表示であったが、目黒延伸時までにLEDへと変更されている。また、登場時4連であった編成は1996年の四ツ谷延伸時に6連化されたが、6連化にあたっては編成によって組成の仕方がまちまちで、既存編成からの電動車を新たに組み込んだ編成の他、新造中間車(こちらはIGBT-VVVFインバーター制御方式)を組み込んで6連化した編成も存在する。

 2012,02,10 新丸子
 2009年、輸送力増強を目的に9年振りに製造された5次車。9年振りと言う事で大幅なマイナーチェンジが施されている。外観は従来車に比べてより精悍なスタイルとなり、新たにスカートも取り付けられた他パンタグラフはシングルアームとなった。車内は片持ち式座席となり、1人あたりの掛け幅が拡大されている。また、FRP等の使用が取りやめられ、万一の火災時における対応の強化がなされている。更に扉鴨居部にはLCDが1基設けられ、更にドア開閉表示灯も設置。更に優先席付近の吊り革の高さや車両の床面が低減されるなど従来車に比べて利用しやすいようサービス向上が図られている。このグループは2本のみの存在であり、他車の中で異彩を放っている。

 2012,02,10 新丸子
 2016年よりB修工事が開始された9000系。外観上は行き先表示器のフルカラーLED化の他、帯が変更になっており、ハーフハイト式のホームドアでも識別可能なよう、上部にもエメラルドグリーンと白の帯が配されたほか、下部の帯は「ウェーブデザイン」とされている。制御装置にはフルSiC素子を採用しており、更に16000系4次車同様、SIVに「並列同期/休止運転」機能が採用されている。車内は床材の交換や袖仕切りの大型化、車内案内表示器のLCD化をはじめ大規模に改修されているが、随所にエメラルドグリーンを混ぜたカラースキームとなった。また、車端部に設置されていたボックスシートは撤去のうえ、フリースペースに転用されている。これにより東京メトロの車両からはクロスシートを備えた車両が消滅する。

 2018,03,11 新丸子
 前照灯がLED化された9000系。9000系の前照灯LED化はB修工事の有無を問わず全編成を対象に行われている。なお、2020年の時点でB修工事が完了している初期車8本については、8連化は行わない予定となっている。

 2021,10,24 多摩川
2021/10/24