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東武鉄道が2017年8月より運行を開始する「SL大樹」向けの事業用車として、JR西日本及びJR貨物から車掌車のヨ8000形2両を譲り受けたものである。ヨ8000形は1974年以降に製造された2軸車掌車で、それまでの車掌車から大幅に設計を変更し、近代化と車掌車としての機能・居住性を高めた車両である。大半の車両は1985年の貨物列車への緩急車連結廃止時に淘汰されたが、事業用に残された車両は国鉄民営化以降も継続使用された。ただし使用頻度は低減が続いており、東武鉄道に譲渡された2両も使用回数の低減により余剰となった車両となっている。特にJR西日本から譲渡されたヨ8709号車は旅客会社に継承されたヨ8000形の最後の1両で、主に山陰地区の工事列車に連結されていたものである。このヨ8000形が東武鉄道に導入された目的として、蒸気機関車の保安装置への対応が挙げられる。SLの本線走行に際しては保安装置(東武鉄道では東武ATS)の増設が必須だが、牽引機のC11形はJR北海道からの貸与車両であるため、機関車自体には車上子と警報装置のみ追設し、ATS装置本体をヨ8000形に追加で搭載しジャンパ連結器を介して連動させることで、本線走行を可能とした。このため、SL大樹の本線運転時はヨ8000形の連結が必須となっている。また、入れ替えの際に同車を先頭に推進運転を行うこともあることから、デッキ部分には前照灯が追加されている。前述のとおり他の車両と同じく2017年8月のSL大樹運転開始に合わせて東武鉄道での使用を開始した。通常は下今市と南栗橋に各1両が配備されており、基本的に下今市に配備された車両がSL大樹に連結され、SL検査等に合わせて配備車両を入れ替えるようになっている。なお、DE10形によるDE大樹の運転に際しては、DE10形自体にATS装置が設置されていることもあり同車は連結されない。
2017,12,02 鬼怒川温泉 |