14系
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 東武鉄道が2017年8月より運行を開始する「SL大樹」向けの客車として、JR四国より14系客車の譲渡を受けたものである。JR四国の14系は、元々C56牽引のSL列車用の客車に充当すべく2005年にJR東海から譲り受けたもので、数回使用した程度で殆ど使用されず高松運転所に留置されていたものである。これはスハフ14形・オハ14形・オハフ15形各形式のトップナンバーを含んだ4両の陣容(いずれも1972年製)であり、その全てが東武鉄道に譲渡されている。譲渡に際しては、国鉄時代からの姿を再現しつつ、徹底した修繕・更新がなされている。外装は前述のとおり青20号を基調に白帯を巻いた正に国鉄時代を彷彿とさせる姿を維持し、外板の修復もなされている。また、スハフ14形については発電用エンジンが14系500番台のものへと換装された。車内は当時のままの簡易リクライニングシート(ストッパーのない原型のもの)だが、モケットやカーテンは国鉄時代に近いものに換装され、総じて新製当時の姿に近づけられている。なお、サニタリースペースは一部車両のトイレが洋式に換装されている他は全て使用停止の措置がとられ、洗面所は全て埋められ荷物置き場ないし乗務員スペースに転用されている。なお、客車はJR四国から譲渡された車両とは別に、他にJR北海道から譲受した14系500番台4両とJR四国から譲受した12系2両が存在するが、当初は部品取り兼工場内試運転時の伴車の扱いで車籍編入はされていなかった。ただし東武鉄道では2021年までにSLを3両配置する計画で、それに合わせた「SL大樹」の増発及び一部列車の東武日光への乗り入れに先立つ形で客車の再整備等が行われることとなった。これにより、JR北海道から購入した14系500番台のうち2019年4月と2020年8月に各1両、新たに「SL大樹」に導入することとなった他、12系客車も展望スペースつき中間車として「SL大樹」の客車に増結されるようになった。中でも2019年に導入されたオハ14-505はJR時代「ドリームカー」として改造がなされた車両であり、往時の内装のままとなっている。

 2017,12,02 鬼怒川温泉


■Variation
 トップナンバー車スハフ14-1。全国で客車列車が風前の灯火となり、14系客車自体も全国で稼働車が10数両という現状の中、14系のトップナンバー車が現存しているというのは奇跡的であるといえる。

 2017,12,02 鬼怒川温泉
 オハフ15形のトップナンバー車であるオハフ15-1。こちらはオハフ14形と異なり発電用エンジンを搭載していない。

 2021,11,28 鬼怒川温泉
 2021年5月にぶどう色一色に塗り替えられたスハフ14-5。旧型客車を模した塗装で、JR北海道の「SL冬の湿原号」仕様の14系に類似しているが、同車とは異なり窓下の赤帯は配されず、文字通り「一色」となっている。塗り替え当初は既存塗装の14系と混結されたが、12系客車の連結を開始した2021年11月以降は、基本的にぶどう色の車両のみで組成されるようになった。

 2021,11,28 鬼怒川温泉
 JR北海道からの譲渡を受けた14系はしばらく整備が施されずに存置されていたが、SL増備による客車増強の準備から、オハ14-505(ドリームカー)の整備及び「SL大樹」への投入が2019年に行われた。次いでスハフ14-501も整備・投入されたが、こちらは2021年以降ぶどう色一色に塗り替えられている。14系500番台は寒地仕様で側扉が折り戸ではなく引き戸となっている点が特徴である。オハ14-505の内装は往時の内装をそのまま引き継いでいるが、スハフ14-501はモケット張替えやトイレリニューアル等が施された(特徴的な床の市松模様はそのまま残されている)。

 2021,11,28 鬼怒川温泉

2021/11/29