20000系
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 2017年登場。相鉄では西谷駅から羽沢横浜国大を経てJR線に直通する相鉄・JR連絡線と、羽沢横浜国大から更に新横浜を経由し、日吉〜新横浜間で建設される東急新線に直通する相鉄・東急連絡線を建設しているが、東急線は相鉄の既存車両と比べて建築限界がやや狭いため、将来の直通運転に対応する車両を先行導入し、営業運転を行いながら習熟を図ることとなった。これにより投入された車両が20000系で、元々2016年には東急線直通に同系を用いることが発表されていた。車両は日立製作所製で、同社が手掛ける「A-Train」の一つである。同車は相鉄の都心直通を見据えた「相鉄デザインブランドアッププロジェクト」開始後初の新造車両であり、外装は「YOKOHAMA NAVY BLUE」一色に塗装されている。前面デザインは「能面など日本の伝統的な面」をイメージしてデザインされている他、中央下部には国鉄EF66形電気機関車のルーバーから着想を得たとされるグリル風の意匠がなされた。制御方式はフルSiC素子適用のVVVFインバーター制御方式、主電動機は全閉内扇型主電動機が採用され、従来車以上に静粛性や省エネルギー性、メンテナンス性の向上が図られている。車両情報制御装置は従来のTIMSを更に発展させた日立製作所の「Synaptra」が採用され、情報伝送時の速度向上、大容量化がなされた。主幹制御器は直通運転先にあわせ、相鉄では初めてT型ワンハンドルマスコンが採用された。保安装置は2018年の時点では相鉄線のATS-Pのみ搭載するが、将来的に当初より統合型保安装置を設置することでATCやATO等にも対応できるようになっている。編成のMT比は10両編成で5M5Tとなるが、M車は全てユニット方式ではなく1M方式とされており、電動車・付随車各1両を抜いて8両編成を組成することも可能である。車内はオールロングシートで、9000系リニューアル車同様グレー基調の内装となっている。優先席にはオレンジ色のモケットで、ユニバーサルデザインシートが採用された。車内照明は調色調光式LED照明となり、時間帯等によって色調が変化するようになった。扉鴨居部には21.5インチの大型液晶表示器が1基とりつけられている他、天井部分にも広告表示用の液晶表示器が取り付けられた。また相鉄の車両では初めて半自動扉開閉機構が採用され、側扉にはドア開閉用の押しボタンが設置された。この他、JR車をベースとしていた10000系や11000系では廃されていた窓のカーテンや戸袋付近の鏡などが復活しており、総じて「相鉄らしさ」を前面に押し出した車両となっている。20000系は10連1本が2017年7月に落成し、当初は同年12月に営業運転が開始される予定だったが、遅れて2018年2月に営業運転を開始した。「共通化という前提の下で限られた独自性を見出す車両が増加する中にあって、明確なコンセプトを策定した後に共通化に対応させる意欲を鮮明に打ち出した車両」という点が評価され、2019年には鉄道友の会のローレル賞を受賞した。2年以上に渡り1本のみの陣容だったが、2020年からは増備編成も導入されており、2020年末時点では10連7本の在籍となっている。増備編成は広告用表示器が廃され代替で鴨居部の液晶表示器が2基に増設される等のマイナーチェンジが施された。将来的には、東横線へ直通する10両編成と目黒線方面へ直通する8両編成がそれぞれ製造される計画であったが、目黒線直通用の8連は非常用ドアコック位置の変更等一部仕様変更があったことから形式が21000系に区分されており、結果的に20000系は10連7本の陣容で落ち着くこととなった。

 2018,03,11 上星川


■Variation
 20000系はしばらく10連1本のまま推移したが、2020年、2年半ぶりに増備車が新造された。この増備車からは天井部に垂直配置されていたLCDが撤去され、代わりに鴨居部の車内案内表示器が2基に増設されている。更に防犯カメラも扉鴨居部に千鳥配置されている他、鴨居部の塗装が黒から白に変更されている。

 2021,12,16 天王町
2021/12/17