TH3000形
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 1995年登場。新駅増加等による天竜浜名湖鉄道線の輸送力増強を目的に製造された車両である。既存の車両はバス用車体を応用した富士重工製のLE-Carであったが、こちらは鉄道車両の工法を用いたLE-DCとなり、同時期に製造された信楽高原鐵道SKR300形等とほぼ同一のデザインであるが、こちらは全長が18mと大型化されている。当初の外装はクリームを基調に濃淡オレンジのラインとストライプが配されたものであり、色合いは平成筑豊鉄道100形等に近いものであった。エンジンには同時期の第3セクター鉄道車両には珍しく、JR東日本やJR東海で採用が進んでいたカミンズ製のエンジンを採用。機関出力は350PSと既存車両(機関出力230PS)に比べて大幅に増強している。なお、ブレーキ装置は従来通りのため、TH1形等既存車とは併結が可能である。車内はボックスシート主体のセミクロスシートであり、天竜浜名湖鉄道の車両としては初めて車いすスペースも設置されている。TH3000形は2両が製造され1996年に営業運転を開始した。2005年にはトロッコ列車の牽引用にTH3501号車が塗装変更され、クリームとマルーンのツートンカラーとなった。併せて付随車牽引に伴う空転防止のため砂撒き装置が搭載されている。トロッコ客車は台車への亀裂から2006年に運用離脱、翌年には廃車されたため同車での牽引期間は短かったが、現在も同じ塗装を堅持している。一方のTH3502号車は2008年に運用を離脱し、そのまま2010年に廃車されている。残るTH3501号車は前述のとおりトロッコ塗装を維持しながら残り、2015年以降はカーテンとボックスシートのヘッドレストカバーをフィンランドの「マリメッコ」の生地で作られたものに取り換え、「スローライフトレイン(レトロドロフィース)」という愛称が付けられた。TH2100形やTH9200形とは併結できないため、専ら単独で限定運用に用いられていた。2020年12月に車両故障を起こしてからは運用を離脱し、2021年5月に乗客を乗せない形でさよなら運転が行われて、正式に現役を退いた。

 2023,03,12 天竜二俣


2023/03/19