スハフ1形
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 1954年、後の井川線となる路線の堂平延伸を控え、前年の1953年に当時の中部電力専用鉄道が5両配備した客車であり、いずれも帝國車輛工業で製造された。同時期には同じく客車のスロフ1形も製造されていたが、スロフ1形が来客輸送用であったのに対しこちらは当初職員輸送を目的に作られていた。車番はスロフ1形からの続番となっている。全長10m級の車体は半鋼製で、戦後製の鉄道車両では珍しくオープンデッキ構造となっており、車高の関係(車高2600o、床面から天井までは1850oしかない)で、デッキ部で頭部の接触がないよう、デッキ部の屋根は大きく絞られている。車内はロングシートで、背ずりは設置されていない。因みに登場時はすべて板張りであった。前述のとおり当初は中部電力の職員輸送に用いられたが、1959年の地方鉄道改組に伴い一般旅客輸送にも用いられるようになった。井川線が観光鉄道化していく中でも、後継車両に伍して使用されていたが、1984年に1両が廃車され、残りの車両のうち2両は1999年にトロッコ車両「かわかぜ号」用に改造されたものの既に廃車されたため、現在はスハフ4とスハフ6の2両のみ残る。現在、この2両はイベント用車両としての位置づけが強く、通常運用に充当されることは少ない。

 2015,09,22 千 頭


■Variation
 井川線が大井川鉄道の運営となってから40年を迎えた1999年に、千頭〜川根両国間でDB1形牽引のトロッコ列車が運行されることとなり、この改造種車としてスハフ1形が選ばれ、スハフ5・スハフ7の2両が改造された。改造に際しては、スタイルは原型を残しつつ、側窓・既存屋根の撤去及び屋根部分への金網設置等がなされ、正に「トロッコ車両」然とした姿となった。また座席も木製のものに取り換えられ、更に塗装も青を基調にイラストが描かれたものに変わっている。かわかぜ号の運転はDB1形の本線上からの引退により2008年に終了したが、専用客車はその前に運用離脱し、以降は千頭ないし川根両国に留置されていた。このうちスハフ7が屋根・塗装を原型に復元した上で千頭駅近くの「音戯の郷」で休憩所として活用することとなり、2012年より同地に移設されている。塗装は復元されたが窓枠は撤去されたままで、座席も木製である。なお、スハフ5はそのまま解体されている。

 2014,01,24 音戯の郷