DD20形
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 1982年登場。長島ダム建設に伴う存廃問題に決着を見た井川線における牽引機関車の置き換えを目的に日本車輌で製造された液体式ディーゼル機関車である。全長8.7mの箱型車体を有し、井川線の車両限界により車高は2700o程度に抑えられている。前照灯は上部の他、尾灯の下にも設けられており、下部に設けられている前照灯は急曲線の多い路線特性により、曲線通過時に自動的に進行方向を向くよう可動式となっている。本形式の最大の特徴は、エンジンに国産エンジンではなくアメリカはカミンズ社のエンジン(小松製作所のライセンス生産で、出力は335PS)を採用した点である。出力300PSを超える良質な国産エンジンが当時存在せず、かつ近隣の船舶でカミンズ製エンジン採用が多かったことから導入に踏み切ったものである。現在の日本ではJRのキハ110系やキハ85系、更に国鉄型気動車のエンジン換装によりカミンズエンジンは広く採用されているが、本格的な採用に踏み切ったのは本形式がほぼ初めてであり、特筆事項といえる。本形式では他に重連総括制御に対応して輸送量の増減に柔軟に対応できるようになっている他、将来的な長島ダム付け替えにより所謂「ペンデルツーク」での運転形態へ移行することを見据え、制御車からの遠隔制御が可能なように設計されている。この他、砂撒き装置や水撒き装置も自動化されており、総じて井川線の近代化に貢献した。1986年までに6両が製造され、以降井川線の旅客列車は基本的に本系列に統一された。なお、本形式は欧米の機関車にも見られるように、「IKAWA」や「ROTHORN」など、1両ごとに沿線ゆかりの地名、山や姉妹提携を結んでいる場所に因んだ愛称がつけられている。専ら井川線で使用されており、1990年の長島ダム建設に伴う線路付け替え後はクハ600形が導入されて「ペンデルツーク」による運行形態に移行したため、編成の千頭寄りに連結されることになった。既存の機関車に比べて車両性能が向上したことから大井川本線での走行も可能となり、貸切ながら新金谷〜接岨峡温泉間の直通運転を行ったこともある。なお、2006〜2007年に全機とも日本車輌でエンジンの換装が行われており、以降は純正のカミンズ製エンジンが搭載されている。

 2014,01,24 千 頭


■Variation
 DD20形登場当時の塗装に変更されたDD203号機。ローズレッドを基調に紺と白の帯が配されたもので、DD201とDD202の2両が当初この姿となっていた。

 2015,09,22 千 頭
2021/02/10