C10形
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 C10形は、C11形・C56形に続く3形式目の保存蒸機で、1994年に岩手県宮古市から譲渡を受け、1997年に営業運転を開始した。元々C10形は旧型となっていた輸入タンク機を置き換える目的で1930年に23両が製造された国産タンク機で、当初は都市部における列車増発に充てられた。テンダー機関車に取り入れられた軸配置を採用し、動輪の直径をやや小さくすることで、大型の蒸機に引けを取らない牽引力と高速性能を両立した。ただしC10形は従来からのリベット工法を用いて製造されており、結果として自重・軸重が大きくなり地方線区の一部には入線できないという欠点もあった。この結果C10形は1930年に製造されたグループのみで製造を終了し、以降は改良されたC11形に増備が移ることとなった。当初は東京や大阪といった都市圏で使用されたが、電化の進捗等で戦前のうちに地方線区に転属され、国鉄からは1962年までに全車廃車されている。

 大井川鐵道に在籍している8号機は落成後大宮に配置され、1935年までは関東地方で使用された。その後姫路への転属を経て1937年には仙台に移籍し、以降は廃車まで東北地方で使用された。1962年の会津若松を最後に廃車されたが、その後すぐに岩手県宮古市の「ラサ工業宮古工場」に譲渡され、同地の専用線で貨車牽引の任についた。1976年にディーゼル機関車に置き換えられた後も予備車として残り、専用線廃止後の1987年には宮古市に譲渡され、3年間専用線の跡地を活用して「SLしおかぜ号」という愛称で保存旅客運転が行われた。その後も時折単機での小運転が行われ、前述のとおり1994年に大井川鐵道に譲渡され、修繕・保安装置設置などの各種整備が行われた後1997年に現役復帰している。以降はC11形やC56形と共に使用されているが、同機のみリベット打ちの車体となっているのが特徴といえる。他形式の機関車とは異なり、同機は現在に至るまで殆ど特別な装飾が施されていない。尚、この8号機以外のC10形は全て廃車解体されており、唯一の現存機が稼働状態にあるという珍しい機関車となっている。


 2014,01,24 千 頭