スハフ43形
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  大井川鐵道に2両在籍しているスハフ43形は公益財団法人日本ナショナルトラストが保有し大井川鐵道が管理するという体裁をとっており、1987年に国鉄から譲渡されたものである。スハフ43形は1951年に製造された特急用の3等緩急車であり、3両という少数派であった(ただし、後にスハ44形のうち14両が緩急車に改造のうえ本形式に編入されている。10番台に区分)。他のスハ43系と比べ、デッキが1か所である他側窓が座席単位で配されるという違いがある。車内は特急型車両ということもあり固定クロスシートがシートピッチ835oで展開していた。前述のとおり窓は座席ごとに配置されるよう設計された他、巻き上げカーテンも設置された。当時の普通列車用客車の内装とは全く異なる内装となっていた。当初は東海道本線系統の特急で、同系統の特急が電車化した後は東北本線系統では初の特急列車である「はつかり」に充当された。1960年にキハ81系が「はつかり」に投入されると余剰となり、その後は一般型に格下げの後所謂「近代化改造」が施されたが、この改造により車内照明が蛍光灯化された他、座席の回転が可能となっている。1960年代には団体運用を経て夜行急行の指定席車に充当される機会が増えたが、後に大井川鐵道に転ずる2両は高松に転属し、四国島内の普通列車などに用いられるようになった(高松に転属しなかったスハフ43-1は宮原区で引き続き急行列車に連結の後、1975年に廃車)。高松では側窓のアルミサッシ化等の改良がなされ、他の旧型客車と共に使用されたが、小窓が整然と並びデッキが1か所のみの元特急車両は四国内でも目立つ存在であったようである。1985年のダイヤ改正で旧型客車の運用がなくなったことで運用を離脱し、翌年に国鉄を除籍されている。大井川鐵道では特急「はつかり」に充当された当時の青15号にクリーム2号の帯を巻いた姿に復元されており、同じく日本ナショナルトラストが保有するオハニ36形と共に時折SL列車に連結される他、イベント列車等に用いられることもある。座席は特徴あるクロスシートがそのまま残っており、往年の特急列車の面影を今に伝える貴重な存在となっている。

 2015,09,22 新金谷


2020/03/22