オハニ36形
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 大井川鐵道に在籍しているオハニ36形は公益財団法人日本ナショナルトラストが保有し大井川鐵道が管理するという体裁をとっており、1987年に国鉄から譲渡されたものである。オハニ36形は、完全新製車があてがわれなかった座席・荷物合造車両を充足させる目的で、1955年から翌年にかけて木造客車の下回りを流用して半鋼製車体を新造したもので、30両が竣工した。一般的に鋼体化改造により竣工した客車群(俗に60系客車と称す)は普通列車への充当を前提にしていたが、本系列は前述のとおり優等列車への使用を前提としたことから、客室部分のアコモデーションは新造客車に準じている。当初は台車も流用され、オハニ63形と呼称されていたが、流用した台車が優等列車での高速運転に向かないことから1956年以降新造台車に換装され、その時点でオハニ36形に形式変更されている。後に電気暖房を搭載された車両も現れたが、該当車はスハニ37形と形式変更されている。この他事業用車に改造された車両もあるが、未改造のオハニ36形は1979年から1984年までに大半の車両が廃車されている。大井川鐵道に譲渡されたオハニ36-7は車内照明が白熱灯から蛍光灯に変更される等の変遷を経つつ、1985年以降も残存した数少ない車両である。国鉄末期は福知山に配置されており、主に浜坂〜福知山間の普通列車に連結されていた。とりわけ一部列車では荷物室を活用した行商用車両として用いられた。大井川鐵道への譲渡に際しては蛍光灯であった車内照明を白熱灯に復元しており、同じく日本ナショナルトラストが保有するスハフ43形と共に時折SL列車に連結される他、イベント列車等に用いられることもある。2013年になされた荷室塗り替え及び「トロ箱」の設置など、修繕等を経ながら継続使用されているが、2020年の時点では大規模な修繕工事により運用を離れている。なお、オハニ36形は同じく国鉄末期まで福知山区に配置されていたオハニ36-11がJR東日本に在籍しており、現在も高崎地区のSL列車用に用いられているが、JR東日本のオハニ36形は近年ドアクローザーの設置や扉開閉灯、デジタル無線機の設置など各種改造が施されている。

 2015,09,22 新金谷


2020/03/22