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E51形は、1949年に国鉄ED12形の譲渡を受け、翌年より導入された電気機関車である。元は東海道線や横須賀線の電化開業にあたり電気機関車の性能を確かめる目的で導入されたサンプル機の一つであり、スイスのブラウンボベリ社・SLM社・SWS社によって2両が製造され、1923年に輸入のうえ、大宮工場で艤装されている。全長凡そ12.9mと一連の輸入電機の中では大型の部類で、デッキ付きの箱型車体ではあるが、車体が運転台部分に向かって絞られており、デッキ部分を覆う程の大きな庇を有し、屋根上には大型の空気溜が取り付けられるなど、独特なスタイルとなっている。車輪径は1400oと非常に大型となっているが、これは動力を伝達する歯車にはすば歯車が採用され、2組の歯車で動力を伝達する機構になった結果、台車の歯車間のスペースが狭くなり、電動機を台車内に収めるため、この車輪径となっている。また、主電動機の冷却は送風器を用いた強制冷却が採用されたが、この送風機と電動発電機は独立した駆動系を持たず、主電動機から継手を介して駆動された。更に当初は電圧が定まっていなかったこともあり、直流600Vから1500Vまで、3電圧に対応した複電圧対応となっていた。導入当初は1020形という形式が付けられていたが、1928年の称号改正でED12形に改称された。国鉄では他地区には転属せず終始東海道線で使用されていたが、機器類が特殊であることもあり、1948年から翌年にかけて国鉄を廃車となった。西武鉄道への譲渡に際しては大宮工場で改造が行われており、運転台左側の部分に小窓が新設された他、軸重軽減を目的として主電動機冷却用の送風機が撤去され、冷却機能を補うために側窓下にルーバーが増設されている。西武鉄道では他の輸入電機と同じく貨物輸送や工事列車の牽引に従事した。なお、当初は51形と称されたが、後にE51形に改番されている。塗装は一時期を除き殆どの期間ディープラズベリー一色の塗装を纏っていた。E851形導入後は主にセメント輸送以外の貨物輸送や工事列車牽引に従事したが、E51号機は1976年に廃車され、残るE52号機も1987年に廃車されて形式消滅した。E52号機は横瀬車両基地に静態保存されており、その特徴的なヨーロピアンスタイルを現在に伝えている。
2013,10,06 横瀬車両基地 |