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会社創立100周年を迎えた西武鉄道が、「沿線各地域の活性化と新しい旅行スタイルの提供」を目的として、関東大手私鉄では初のレストラン列車「52席の至福」の運行を開始するにあたり、4000系4009Fを種車に大規模な改造を施したものである。形式は52型と称されているが、車両番号は種車の番号を引き継いでいる。内外装のデザインは建築家の隈研吾氏によるもので、同氏が手掛けた鉄道車両は本車両が初である。改造自体は総合車両製作所により実施されている。車体は種車の面影を残しているが、外装は秩父を流れる荒川をイメージした水色を基調とし、1両ごとに秩父の四季を表したイラストがあしらわれた姿に改められている。また側扉は形状こそ残しているが、大半の側扉は埋められている。4両編成のうち、客室は2号車(飯能方2両目)と4号車(池袋方先頭車)となっており、各客室が26席なので「52席の至福」という名称がつけられた。いずれの客室も2人掛けまたは1人掛けのソファシートが並び、大型テーブルと相まってさながら「走るレストラン」の様相を呈している。各座席にはコンセントも設置されている。2号車は柿渋和紙を用いた天井、4号車は沿線で産出される西川材を格子状に組み合わせた天井となっている。1号車は多用途に使用可能な多目的スペースとなっており、窓側に手すり、天井にピクチャレールが設置されているが他は元の内装が撤去されている。1号車の車端部には車いす対応トイレと男性用トイレが設けられた他、乗務員室背後は展望スペースとなっており、子供が展望できるよう台が設けられている他、半分はカーテンで仕切り授乳スペースにも使用できる。3号車はキッチンカーであり、クローズドキッチンとオープンキッチン、オープンカウンターを備える。屋根は杉材が用いられており、天板は人工大理石となっている。このキッチンカーは本格的な供食施設となっており、西武沿線の名店、有名シェフが監修したコース料理等が提供される(基本的には池袋・西武新宿発便がブランチ、西武秩父発がディナーだが、例外もある)。「52席の至福」は2016年4月から営業運転を開始している。基本的には土休日を中心に池袋または西武新宿と西武秩父を1往復し、通常の電車よりも遅い2時間30分から3時間で走破する。時折本川越まで運転されることもある他、種車同様秩父鉄道への直通も可能であり、2024年11月には長瀞まで営業運転を行っている。
2024,11,23 練 馬 |