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スム4000形は1963年に日本車輌にて50両が製造された、全長7.8m級の15t積み鋼製2軸有蓋車である。国鉄のスム1形と同じく「鉄側有蓋車」という車両区分がなされており、鋼製車体かつ車内に内張りがなされていないという特徴がある。1960年に製造されたスム3000形とは車体の形態は殆ど変っていないが、台車形状に違いが生じている(尚、いずれも製造当初より2段リンク式走り装置が採用され、最高速度は75km/hである)。秩父鉄道では水分を嫌う袋詰めセメントを輸送する必要性から、防水性に優れ軽量な鉄側有蓋車がかねてより多く製造・使用されていたが、スム4000形はその中でも最後に製造された車両である。同車の使用開始に伴い、秩父鉄道の鉄側有蓋車は実に570両以上という一大グループを形成するまでに至っている。主に前述の袋詰めセメント輸送をはじめ、それ以外の一般貨物の用途にも使用されるなど幅広く使用されたが、モータリゼーションの影響により一般貨物が減少し、かつセメントの輸送形態が袋詰め輸送からバラ積み輸送へと主流が変化すると大量の余剰車が発生するに至り、1970年代末には廃車が発生している。尚、1979年に9両がワフ50形へと改造されている。末期は36両が貨物輸送にあたったものの、1984年に34両が一斉に廃車となり以降は2両のみの陣容となった。残った2両は救援車となり、側面に白線と「救援車」の文字が入れられた状態で広瀬川原車両基地に配置されている。この他1両が秩父鉄道公園に静態保存されている他、防水性に富むことから車体のみ倉庫代用として使用されるケースもある。尚、国鉄や他の私鉄を含め「鉄側有蓋車」と呼べるグループは既に全廃されており、救援車として残る2両が最後の鉄側有蓋車となった。
2013,03,07 秩父鉄道車両公園 |