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3000系は従来有料急行「秩父路」に使用されていた300系の老朽取替を目的として1992年に導入された車両である。元々はJR東日本に在籍していた165系で、当時新前橋電車区に所属していた編成のうち3連3本が秩父鉄道に譲渡されている。全体的には種車の面影を残しているものの、前面は非貫通構造となり、既存の前照灯、方向幕は撤去され、代わりに中央に愛称表示器(表示板を内側から差し込む)が新設された他、前照灯・尾灯は角型のものが新たに設置されている。更に窓上には標識灯が新設されている。塗装は一新され、「青い空・白い雲・清流」をイメージした、白と水色を基調としたカラーリングとなり、前面窓周りは黒く処理されている。走行機器類はJR時代とほぼ変わらないものの、抑速ブレーキ機構は使用停止措置がなされた。また中間車についてはパンタグラフの増設が行われている。車内はオールボックスシートで種車の面影を残しているが、壁面の化粧板が貼り替えられたほか、モケットは青紫基調のものに変更されている。更にデッキとの仕切り扉の自動化、蛍光灯カバーの新設、灰皿やトイレの撤去・封鎖等がなされている。なお、乗降扉も化粧板付きのものとなっている。3000系は1992年3月から営業運転を開始し、同年10月までに3編成の陣容となり既存の300系を置き換えた。種車となる165系は元々冷房化されていた(一部の車両は冷房改造試作車であった)が、これが秩父鉄道の車両としては初の冷房車となった。300系と比べ編成数が増加したことで「秩父路」の増発も行われた他、2005年からは羽生発着便も新設されている。種車となる165系の製造から40年前後経過し老朽化が進行したことから、2006年3月のダイヤ改正以降新たに導入された6000系に置き換えられることとなり、本形式は2006年11月までに全車運用を離脱した。廃車された車両の一部カットボディが残存しており、2025年には石川県小松市に移設される等の動きが生じている。
2006,03,18 熊 谷★ |