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2022年登場。老朽化の進んだ20系の置き換えと、2025年に開幕予定の大阪・関西万博に向けた輸送力の増強を見据えて製造された中央線向けの車両で、前年に登場した30000A系が30000系の増備車としての位置づけが強いのに対し、こちらは純然たる新設計車両で、大阪市営地下鉄の部民営化以降初めて開発された車両でもある。中央線は2025年の夢洲延伸で万博輸送の他将来的には統合型リゾート施設へのアクセス輸送も担うことが予定されており、同線に相応しい、近未来的かつ「乗るだけでワクワクする」車両として開発された。本形式は日立製作所で製造されており、同社の手掛けるアルミダブルスキン構造が採用されている。本形式のデザインは奥山清行氏によるもので、「近未来的」を体現すべく宇宙船をイメージした既存の地下鉄車両とは一線を画した斬新なデザインとなっている。特に前頭部は3次元削り出し加工により多面的で幾何学的な造形となり、「宇宙船」イメージに一役買っている。制御方式は大阪メトロとしては初めてハイブリッドSiCモジュールを用いたVVVFインバーター制御方式が採用された。なお、補助電源装置はフルSiCによる静止型インバータが搭載された。この補助電源装置は並列同期方式が取り入れられ、回路を並列接続とすることで回路停止時の冗長性が確保されている。またイーサネットによる大容量通信を活用した車両情報管理装置を搭載しており、車両の状態管理や車内の適切な温度管理、ブレーキの状態を把握し適切な原則度を編成全体で確保し逸走防止を図る、地上設備へのリアルタイムな情報送信を行うなど車両の総合的な状態管理を担っている。この伝送も2重系統となっており冗長性が確保されている。なお、将来的な自動運転に必要な機器も準備されている。台車は30000A系に引き続きボルスタレス台車を搭載しており、近鉄線への直通を考慮し最高時速は95km/hとなっている。車内は1両を除き片持ち式のオールロングシートとなっている。壁が白、天井部分と床がグレーというモノトーン調の色合いであるのとは対照的に、座席モケットは濃淡グリーン(優先席は濃淡ブルー)、扉付近の床を緑と明るい色調にすることでメリハリの利いたカラースキームとなった。座席は既存車両に比べて50o背ずりが高いハイバックシートが採用されており、その分側窓が小さくなっており、この点はJR九州の821系に近い。4号車のみ地下鉄車両としては非常に珍しく固定クロスシートが採用されており、進行方向右手側が前を向くよう1人掛けのクロスシートが扉間に3脚並んでいる。こちらの座席はグレー系で、落ち着いた風合いとなっている。各社とも車椅子スペースを備える他、一部の機器設置スペースをUSBポートを備えたカウンターとしている。400系は第1編成が2022年10月に搬入され、試運転や習熟運転の後、2023年6月に営業運転を開始した。最終的には2025年までに6連23本が投入される予定で、中央線や近鉄けいはんな線における新たな主力車両として期待がかかる。
2024,03,09 弁天町 |