キハ700形
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 キハ700形はハフ50形客車(戦後復興期に製造された全長10m級の半鋼製客車)の置き換え等を目的に、1967年に国鉄キハ07形の譲渡を受けたものであり、3両が導入された。キハ07形は元々1935年以降に製造された全長19m級のガソリンカーで、戦前期としては最大級の気動車でもあり、半流線形で前面6枚窓という外観が特徴的である。同車は戦後も製造されたが、片上鉄道に譲渡された車両はいずれも1936年〜1937年の製造である。当初はキハ42000形という形式であったが、1957年の称号改正によりキハ07形に改称され、この時点で既にディーゼルカーとなっていた。片上鉄道導入時には変速機も機械式から液体式に変更されており、総括制御が可能となっていた。なお、導入後まもなく前照灯が移設され、他の車両と同じく前面窓下にシールドビーム2灯配置となった。他の気動車に比べて全長が長く輸送力もあることからラッシュ輸送を中心に使用されたが、キハ701は1972年に水島臨海鉄道に移り、キハ703は1981年に廃車されたことから残りはキハ702の1両となり、同車は1991年の廃線まで用いられた。同車の廃線後はキハ303と同様一旦旧柳原駅構内で留置された後、1997年に旧吉ヶ原駅構内へ移設され、翌年の柵原ふれあい鉱山公園開園に伴い同地で動態保存が開始された。2018年現在、現存するキハ07形のうち可動状態で残されている車両は同車と旧鹿島鉄道のキハ601号車の2両のみであり、キハ702は流線形の形状を堅持する点でも非常に貴重な存在である。

 2015,05,03 柵原ふれあい鉱山公園(吉ヶ原)