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5000形(2代目)は2019年に製造が開始された通勤型車両で、通勤型車両としては4000形(2代目)以来12年ぶりの新形式車両である。本形式は8000形や1000形の後継車両としての位置づけが強く、地上線専用車両として製造された。そのため、3000形以来となる前面非貫通構造だが、本形式は「より広く、より快適に」というコンセプトのもと設計されているため、直線基調であった3000形とは異なり幅2900oの拡幅車体が採用された他、先頭形状は流線形となるなど、総じて丸みのある車体となっている。車体は軽量ステンレス製だが、本系列は川崎重工、総合車両製作所、日本車輌の3社が共同で設計を行っており、日本車輌のブロック工法の他、川崎重工が手掛ける「efACE」で導入されているレーザー溶接技術、総合車両製作所で培われた衝撃吸収構造がそれぞれ採用され、各事業者の粋を集めた車両となっている。帯色は既存のインペリアルブルーの他、アズールブルーの細帯を追加した2色構成となっている。前述のとおり前面は流線形でスピード感が強調されているが、この他前照灯の間に尾灯兼用の装飾等が配されており、本系列を特徴づける要素となっている。制御方式は1000形のリニューアルでも採用されたフルSiC-VVVFインバーター制御となった。制御機器は更に改良されており、1000形のリニューアル車で搭載されている機器に比べ大幅に軽量化されている。車両情報装置はイーサネットを採用したN-TIOSとなり、JR東日本のINTEROSと同様、大容量通信による車両管理の他、地上設備への情報伝送も可能となっている。車内は既存の通勤型車両と同じくバケットタイプのオールロングシートとなっている。床面や袖仕切り(ガラス部を除く)は木目調となり、座席モケットは明るいオレンジ色(優先席は明るい青色)が採用され、総じて温かみのある内装となっている。車内照明はLED灯となったが、天井部に埋め込む形で設置されている他、関東私鉄では珍しくカバーで覆われている。袖仕切りを始め、荷棚や貫通扉も強化ガラスが採用されており、これにより車内空間がより広く見えるよう工夫されている。車内案内表示器は4000形に続き17インチの液晶表示器が各扉鴨居部に2基ずつ配置されているが、本形式では更に防犯カメラが千鳥配置されている。また小田急の通勤型車両として初めて車内に空気清浄機(nanoe)を各車両に8台搭載し、快適性の向上に寄与している。5000形はまず1編成が製造され、試運転の後2020年3月より営業運転を開始した。第1編成を含め、初期に製造された2編成は川崎重工製となったが、第3編成以降総合車両製作所や日本車輌製の車両も加わっている。2021年時点では10連9本が在籍し、今後も1000形や8000形の置き換えを目的に増備が進められる予定である。
2021,10,24 登 戸 |