70000形
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 2018年登場。製造から35年以上経ち老朽化の進んだ7000形の置き換えを目的に導入された特急型車両であり、Graseful Super Expressの略で、「GSE」という藍意匠が付けられた。車両コンセプトは「箱根につづく時間を優雅に走るロマンスカー」で、置き換える7000形同様、箱根特急を強く意識し前面展望車として製造された。車体デザインは50000形以降の特急型車両同様、岡部憲明アーキテクチャネットワークが担っている。車体はアルミ製で、外装は「ローズバーミリオン」を基調に、3000形以来採用されている「バーミリオンオレンジ」の帯を窓下に配したものとなり、また屋根部を「ルージュボルドー」に塗装することで、歴代の特急車の中で最も赤系色が多用された車両となった。観光輸送を重視しつつも通勤特急としての需要にも対応するため、展望席を有する特急車両としては初めて20mのボギー車体が採用され、7両で1編成を組む。これにより座席数は400席が確保されている。事故対策として展望席は既存車の油圧衝突器ではなく、クラッシャブルゾーンとサバイバルゾーンを設けて空間を確保し、衝撃を吸収する内装パネルやアンチクライマーの採用等により安全性を確保する機構が採用された。制御方式はSiC-VVVFインバーター制御方式となり、新造車両として初めて炭化ケイ素素子が用いられた。主電動機は全密閉式となり、メンテナンス性や静粛性の向上が図られている。また、車両振動の低減と乗り心地向上のため、電動油圧式フルアクティブサスペンションを全車両に搭載した。列車情報管理にはTIOSが採用されているが、イーサネット通信となることで通信の大容量化が図られ、よりきめ細かな車両制御を可能とした他、TIOSを介した車内Wi-Fiシステムも実装されている。車内は回転リクライニングシート(全席コンセント付き)が983oピッチで展開しているが、座席幅は475oと歴代特急車の中では最も広くなった。側窓は全て高さ1000oの大型窓となり、50000形等と比べても300o拡大している。この眺望を活かすため、先頭車両のみあえて荷棚が設置されず、代わりに車端部にラゲージスペースが設けられた。なお、車内案内表示器は液晶だが、LED表示器並みに小型化されたものが採用されている。売店は設けられず、箱根特急充当用に車販準備室が代替で設置された。70000形は当初1編成が落成し2018年3月のダイヤ改正で営業運転を開始した。しばらくは7000形と併用されたが、2018年度上半期に2編成目も落成し、同年7月からは2本使用となり、同時に7000形を全て置き換えた。50000形とは展望席を有する特急として共通運用となるが、箱根特急を主体に小田急の新たなフラッグシップとして、今後の活躍が期待される。

 2018,03,18 向ヶ丘遊園