3000形
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 2002年登場。環境負荷・コストの低減とバリアフリーの推進を目指し、既存車両の取り換えを目的に導入された通勤型車両である。既存車両と同じく20m級4扉車両であるが、既存車両と異なり、袖絞り車体ではなく直線状の車体となった。車体はオールステンレス製で、初期に製造された車両が日本車輌で製造されたことから、同社の工法である日車式ブロック工法が採用されている。前面は切妻に近い形となり、シンプルな造形となっている。また当初より地上線専用とされたこともあり、前面の貫通扉が廃されている。なお、前面窓下については初期車は青い太帯となっていたが、2003年製の車両から細帯に改められた。制御方式はIGBT-VVVFインバーター制御方式で、製造時より純電気ブレーキが採用されている。当初は6連のみの陣容で、かつ6連は他形式と併結して10連を組む機会が多いことから、6連を組む編成については新宿方先頭車に電気連結器を備え、ブレーキ読み替え装置を搭載して電磁直通ブレーキを採用する従来車両との併結を可能としている。また、小田急の通勤型車両では初めて、左手操作式のワンハンドルマスコンハンドルが採用された。3000形は増備時期により種々のマイナーチェンジが施されてきた形式でもある。初期製造の1次車は側扉が乗務員室後部を除き1600o幅で、戸袋窓を備えていたが2次車以降は全て側扉が1300oとなり戸袋窓が廃されている他、途中から側面行き先表示器が大型化された。3次車以降は従来のモニタ装置に変わり車両情報管理装置「TIOS」が導入され、主電動機出力も向上した。また8連の編成が新たに製造されている。当初より前面の帯が細帯仕様となり、排障器の形状も変更された。4次車では車内案内表示器がLCDとなり、5次車では全扉鴨居部に車内案内表示器が設置された。更に7次車では車内案内表示器がフルカラーLEDとなっている。このような変遷を経て着実に増備し、既存車両を置き換えてきた3000形だが、4000形の増備もあり、編成単位での車両新造は2007年に終了している。しかし以降も10両編成化推進のために中間車が増備され、既存編成に組み込まれて10連を組成している。初期編成の製造から15年以上経過した2018年現在も中間車の新造は続いており、小田急における最多両数の更新が続いている。また、2022年度からは車体更新が開始されている。

 2007,09,22 成城学園前


■Variation
 2002年度に導入された2次車では、ドア幅が1300oで統一されている他、戸袋窓が廃止された。車内では座席が片持ち座席に、袖仕切りが大型のものに改められている。この2次車までは前面窓下の青帯が太くなっていたが、現在は他編成に合わせ細帯とされている。

 2016,06,18 経 堂
 2003年以降に導入された車両では更なるマイナーチェンジが施され、主電動機出力の向上や車両情報システム「TIOS」の導入、制御装置の1C4M化、排障器の大型化などが行われている。このうちお3263Fでは製造当初防音カバーが側面に取り付けられ、防音カバーの試験に供されていた。2006年からは台車周りにのみ防音カバーが取り付けられるなどその形態に変化が生じていたが、2008年7月にカバーが撤去されている。

 2008,06,06 千歳船橋
 3000形は増備ごとにマイナーチェンジが進んでおり、2004年製の4次車からは車内案内表示器がLCDとなった他、2006年製の7次車からは行き先表示器がフルカラーLEDに変更されている。また当初は6連のみの陣容であったが2003年からは8連も製造され、バリエーションが増えている。なお、8連を組む編成は増解結を行うことがないため、新宿方にも電気連結器は備わっていない。

 2017,09,18 登 戸
 新造された中間車を組み込み10両固定編成となった編成。輸送力増強のため3000形の一部で10連化を行うことになり、一部の6・8連編成が10連化されている。10連を組む編成は30番台ないし40番台(80番台ないし90番台)の車号となり、すべての編成で行き先表示器がフルカラーLED化されている。

 2015,07,19 経 堂
 リニューアルが施された3000形。1000形と比べると小規模なリニューアルとなったが、外観上では前照灯の換装、ホームドア対策として非常用ドアコックの側面車端部への新設や車番表記の移設、一部編成における側扉の換装などが変更点となっている。制御装置は一新されて1000形のリニューアル車と同様フルSiC-VVVFインバーター制御方式となった。車内は座席や床材の貼り替えがなされた他、各車両の車端部にフリースペースを設けるなどの改良が施された。2022年度に6連3本に対し施工されたのを皮切りに、引き続きリニューアルの施工が続く予定となっている。

 2023,05,24 本鵠沼

2023/05/31