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ハ6は国鉄魚沼軽便線で使用されていた木造の2軸客車を1949年に譲受したものである。同様の経歴を持つハ5号車の兄弟車と言える車両である。魚沼軽便線は元々魚沼鉄道という私鉄として開業したものを1922年に国有化したもので、国有化後も軌間762㎜のまま存置されていた。不要不急線として1944年に休止の後、改軌のうえ営業再開されたが、軽便線時代の車両は休止からそのまま保管されており、このうち客車2両を1949年に譲受し、ハ5・ハ6という車号がつけられた。元々は青梅鉄道の客車であり、1908年の改軌後に魚沼鉄道の開業にあわせて同鉄道に移籍しているという経歴をもつ。青梅鉄道が軽便鉄道であったのは明治年間であり、本車も同時代の製造であるが、具体的な製造年は不明とされる。全長5.7mのオープンデッキ構造の2軸客車であり、ダブルルーフを有する黎明期の鉄道車両の面影を十二分に残す車両である。外装は茶色を基調にデッキ部扉と窓周りを黄色く塗装し、窓下に黄帯を配したものである。ハ5とハ6は酷似した形態となっているが、魚沼鉄道時代にハ5が全3等、ハ6が半室2等、半室3等であった名残で、こちらは側窓の配置が若干異なり、仕切りを設置していた名残で中間の窓間隔が若干長くなっている。頸城鉄道では既存の客車と共に用いられたが、開業当時からのボギー車も存在しているため、多客時用という一面があったようである。2両とも1968年の部分廃止時にお役御免となりそのまま廃車されている。ハ5は廃車後新潟鐵工所での改修を経て魚沼鉄道時代の姿に復元され新潟県立自然科学館で静態保存されている。ハ6は新黒井駅跡地で留置された後、全線廃止後に遠く離れた神戸市内の六甲山中に移され長年保管されていた。2004年に日の目をみて百間町車庫跡に戻され、修復の後走行可能な状態に復元され、DC92やホジ3の牽引で走行する姿を見られるようになった。このように形を変えながらも2両とも現存しており、明治期の車両かつ複数現存している点で特筆事項と言える。 2013,10,20 百間町車庫（くびき野レールパーク） |