121形
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 121形は木造車体を有していた101形の置き換えを目的に1967年に導入された車両である。折しも当時の阪堺線では同じく101形の置き換えを目的に機器流用車である351形が製造されていたが、製造コストがかかることから5両で製造が打ち切られていた。同時期に規模が縮小されていた大阪市電では、阪堺線で主力として使用されていた半鋼製車とほぼ同型の1601形が余剰となっており、導入コストを低減しつつ101形の置き換えを進めるため、外板の張替えなども行われていた同形式10両の譲渡を受けた。譲渡に際しては制御器を始め走行機器類の換装がなされており、台車・主電動機は置き換えた101形の発生品が流用されている。また主制御器は新造されており、これにより制御方式は間接非自動制御となった。なお、換装により余剰となった台車・主電動機については他形式に流用されている。前面の形状は161形等の既存の半鋼製車両と同等のデザインに改められており、良く似た外観となっているが、こちらの方が台車部分の切り欠きが大きく、外観上の差異となっている。1979年の阪堺線ワンマン運転開始を前にワンマン運転対応改造がなされており、同時に前面に方向幕が新設された。他形式に伍して30年以上阪堺線で活躍した121形だが、1996年からは廃車が始まり、貸し切り専用車両とされた130号車を除き1998年に廃車され、走行機器類は601形に流用された。残る130号車も2000年に廃車されているため、この時点で121形は形式消滅している。最後まで残存した130号車は後に浜寺公園に静態保存された。

 2019,10,06 浜寺公園