2000系
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 1990年登場。高野線沿線でニュータウン開発が進み輸送力の増強が求められたこと及び21000系の置き換えの双方を兼ねて開発された通勤型車両である。当時特急以外で高野線の最優等種別であった急行は、原則として難波から橋本を超えて高野山方面まで直通する所謂「大運転」を行っており、高野山方面に入線可能な17m級の車両に限定されていた。この急行の増発を図る目的があったことから、本形式は17m級2扉車として製造されており、既存の21000系や22000系と同様、平坦区間での高速運転と高野山周辺での山岳区間の走行の双方に対応した「ズームカー」の一つとなっている。車体は軽量ステンレス製で、側面外板はダルフィニッシュ仕上げとなっている。前面はFRP製で、併結を前提としているため貫通構造となっている。前面窓は貫通扉部分を含めて大型化されている他前照灯・尾灯は角型となり10000系に近い印象となっている。初期に製造された編成については新CI決定前の導入であったことから濃淡グリーンの帯を前面と側面に巻いていたが、結果的に緑基調の外装を採用した最後の車両となっている。本形式は南海電鉄では初めて制御方式にGTO-VVVFインバーター制御方式が採用された。付随車は存在せず全車とも電動車となっており、既存の「ズームカー」と同等の性能が確保されている。回生ブレーキも備えるものの、21000系や22000系との併結を前提としたことから制動方式は電磁直通ブレーキ、主幹制御器はツーハンドルマスコンがそれぞれ採用されている。因みに本形式導入にあたって、山岳区間における回生失効防止のための変電所の機能強化がなされている。車内は、初期に製造された編成についてはオールロングシートとなっている。カラースキームは初期車については暖色系となっていた。2000系は当初4連3本が落成し、1990年5月から営業運転を開始した。当初は21000系を置き換えつつ、22000系(更新し、形式を2200系に改める)とは当面併用することが予定されていたが、性能差による不具合が生じていたこともあり、本形式を増備することにより22000系も置き換えることとなった。最終的には1997年までに4連9本、2連14本がそれぞれ製造され、「大運転」及び橋本〜極楽橋間の普通列車は原則本形式に統一された。なお、1992年に導入された編成からは新CI導入を見据え1000系と同じ青とオレンジの帯を巻いた姿となった他、車内のカラースキームが1000系に合わせられ、車椅子スペースも新設されている。1995年製の車両からは1000系と同じく車端部はボックスシートとなり、併せて妻窓が廃止されている。このように、増備の途中で種々のマイナーチェンジがなされている。21世紀初頭まで高野線の急行については「大運転」中心の運用が継続したが、2005年のダイヤ改正にて「大運転」の見直し及び原則急行の橋本での系統分割が行われるようになると本形式は余剰気味となったため、一部の編成は7000系の置き換えを目的に南海本線に転属する車両も現れた。その後も2300系の登場などで高野線での活躍の幅が狭まり、結果的に南海本線での運用が増えることとなった。本線、高野線双方における配置は20年近くに会わたり継続したが、2024年のダイヤ改正で南海本線での運用を終了し、本線系統では再度高野線の終結した。他方同時期にはワンマン化改造のうえ支線系統に転出する編成も現れ、総じて南海の車両の中でも動きの多い形式となっている。現在の高野線では平坦区間から山岳区間に至るまで、幅広い運用に就いている。なお、2026年からは2208系「天空」の置き換え用として、新たな観光列車を本系列の4連編成を種車としてあてがう予定となっている。

 2008,08,06 天下茶屋


■Variation
 1990年に製造された初期車4連3本は側面のビードの数が1本多く、また製造当初は旧来の標準色である濃淡グリーンの帯を巻いていた。後に帯色は他編成に合わせられているが、かつて緑の帯が巻かれていた箇所にグレーの帯が配されている点が、他編成には見られない特徴となっている。また集電装置が分散配置されている点も他編成にはない特徴である。なお、2000系は高野線での運用減少と南海本線での7000系の置き換えにより2007年以降南海本線に転属した編成があり、南海本線では識別のために正面窓に「2扉車」と明記したステッカーが貼りつけられた。南海本線での運用は2024年に終了しており、以降は全編成とも高野線に復帰している。前照灯は全編成とも2020年以降LED灯に換装されている。

 2024,07,07 天下茶屋
 1992年に製造された編成から、1000系と同じく新CI導入に伴い帯色が青とオレンジに改められたが、1000系と異なりこちらは引き続き無塗装となっている。このグループはカラースキームが1000系に合わせられ、車内に車椅子スペースが新設されている他、座席もバケットタイプとなっている。

 2018,02,11 新今宮
 ワンマン化改造が施された2000系。2200系・2230系の置き換えを目的として、余剰気味となっていた2連の編成に対して施工されている。元々2000系は冗長性確保の観点から2連での単独運用は行われていなかったが、この転用により解禁となっている。2連5本にワンマン化が施工され、後述の「めでたいでんしゃ」となった1本を除き汐見橋線、高師浜線、多奈川線でそれぞれ充当されている。

 2024,07,07 羽 衣
 2036Fは新たな「めでたいでんしゃ」となり加太線に転用された。既に投入されている「めでたいでんしゃ」の「遠い御先祖様」という設定で、「かなた」という愛称がつけられている。「太古の時代と未来をつなぐ」というデザインコンセプトで、和歌山市方が「太古の記憶」、加太方が「未来への想い」とそれぞれテーマ分けされており、過去から現在を経て未来までを繋ぐイメージを、虹色で表している。2024年7月からこの姿での運行が開始されており、現在のところ加太線では唯一の2000系となっている。

 2025,09,01 和歌山市
2025/09/28