5250形
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 上田交通の前身である上田温泉電軌の車両として1928年に導入された車両である。製造当時はデナ200形と称し、3両が日本車輌で製造された。全長15m級、片側3つ扉の両運転台車両で、半鋼製車体を採用していたが、台枠部分にトラスバーが配されており、木造車体からの過渡期に製造された車両の特徴となっている。前面は非貫通構造で、同時期に製造された一畑電鉄のデハ1形等に類似しているが、こちらは両端部の窓が丸形となっており、外観上の特徴となっていた。制御方式はHL制御で、既に国産品の製造技術が確立していたこともあり、台車は日本車輌製、電装品は三菱製と走行機器類は基本的に国産品で占められている。なお、製造当初は集電装置はポールであった。車内はオールロングシートで、ニス塗りの内装を堅持した。また側扉は廃車時まで半自動となっていた(戸締め時のみ自動)。上田温泉電軌は(旧)上田電鉄への改称後、上田丸子電鉄を経て上田交通となっているが、上田丸子電鉄時代の1950年に車号変更が行われており、それまでのデナ200形から5250形に改められた。車号は変わったが本系列そのものは集電装置がポールからパンタグラフに換装された以外、大掛かりな改造が施されることもなく、前述のトラスバーや丸い戸袋窓といった特徴を維持したまま、主力車両として活躍を続けた。とりわけ丸窓は、他に採用していた車両が名鉄モ510形を除き通常の窓に改造される若しくは早々に廃車される等したこともあり、全国的にも貴重なものとなり、それ故本車は「丸窓電車」の愛称で親しまれた。1984年には鉄道友の会の第1回エバーグリーン賞を受賞するなど、その存在を示していたが、1986年に昇圧が行われることとなり、同年9月末を以て、他の車両共々営業運転を離れた。廃車後は2両が別所温泉駅留置線に自走のうえそのまま静態保存、1両が上田駅構内を経て中塩田駅構内に保存されたが、現在は5252号車が別所温泉駅構内に保存されている他、3両とも異なる場所に静態保存されている。

 2015,08,14 別所温泉


2020/09/10