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1986年の別所線昇圧と同時に、5000系と共に導入された車両である。元は1958年から翌年にかけて製造された日本初のステンレス製電車である東急5200系で、先頭車2両のみが営業車両として入線している。5200系は5000系と異なりモノコック構造ではないが、前面の2枚窓や側面の窓配置など、5000系に通ずるデザインとなっている。前面、側面ともくの字状に折れている車体形状であり、更に前面・側面ともコルゲートが多数配されていたことから「湯たんぽ」あるいは「ステンレスガエル」の愛称で親しまれた。5200系は元々4両のみの陣容で、運用時期によっては5000系を連結ないし編成に増結することもあった。東横線、大井町線等で使用された後、最晩年は3連で目蒲線で用いられていた。上田交通への譲渡に際しては、別所温泉方車両の電装解除が行われ、併せて5202号から5251号に改番されている。奇しくも昇圧前日まで同じ番号の車両(5250形)が稼働しており、僅か1日で車号が引き継がれることになった。また、比較的寒冷地で用いられることから暖房の強化がなされている。5000系共々昇圧初日から運用入りし、同時に上田交通の車両高性能化も実現したが、非冷房のまま存置されたことから冷房化のニーズには応えられず、1993年には7200系によって5000系共々置き換えられることになり、上田交通譲渡後7年足らずで廃車されている。廃車後、上田方の5201号車は東急に里帰りし、長津田検車区での保存を経て製造元の東急車輌(現在の総合車両製作所)で静態保存されている。別所温泉方の5251号車は倉庫代用として下之郷の車両基地に留置され、イベント時等に展示されることがある。制御車となっていたことから現役時代は集電装置が撤去されていたが、2006年に松本電鉄の発生品を流用することで集電装置を搭載した姿が復活し、現在に至っている。2020年には城下駅で特別展示が実施され、その際にはモーターカーによる牽引ながら久方ぶりに本線を走行している。
2020,09,09 城 下 |