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1997年10月に信越本線篠ノ井〜軽井沢間がしなの鉄道に経営移管されることを受けて、JR169系のうち一部車両がしなの鉄道に譲渡されたものである。169系は信越本線の急行列車長編成化を目的とし1968年より製造が開始された急行型車両で、EF63形電気機関車との協調運転機構を備えている点が特徴である。急行運用の縮小に伴い、1990年代以降は基本的に波動輸送・長野地区のローカル輸送に充当されていた。しなの鉄道に譲渡された169系は、いずれも1986年に急行「かもしか」(後の快速「みすず」)用にアコモデーションの改善がなされた車両で、車内はオリジナルのボックスシートではなく、新幹線の廃車発生品である転換クロスシート・簡易リクライニングシートを備えている。1997年の経営移管時に3連3本、翌1998年に3連1本が譲渡され、以降は3連4本の陣容となった。譲渡に際しては、しなの鉄道の独自塗装に変更された点以外は基本的に大きな変更点はないが、1編成を除き補助電源装置がSIVに換装された他、ATS-Pを装備していた編成は同線内では使用しないことから撤去されている。普通列車のみならず、2扉デッキ付きという急行型車両の構造を活かし、ラッシュ時にはライナー列車にも充当された他、時折JR線内の臨時列車にも使用される等広範な運用についていた。JR線から急行型電車が全廃となってからも往時の姿のまま活躍していたが、寄る年波には勝てず、2011年7月以降はJR線への入線がなくなり戸倉〜軽井沢間に運用範囲が縮小され、2012年には1編成が廃車、残る3編成も2013年4月にさよなら運転が行われて全車廃車された。引退に際しては2編成がオリジナルの湘南色に塗り替えられ(このうちS52編成は2008年にも塗り替えられている)、有終の美を飾った。廃車後はS51編成が3両とも坂城駅構内に静態保存され、S52編成の軽井沢方先頭車が軽井沢駅構内に静態保存されている。
2013,08,17 坂 城 |