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モボ611形は1992年以降に製造された車両である。モボ501形への改造が途中で打ち切りになり、以降も残存していた半鋼製非冷房車のモボ111形を改造種車とし、台車等の走行機器を流用して車体を武庫川車両で新造したものである。全長15m級の車体はモボ501形と異なり直線基調の造形となったが、運転台部分の窓周りが周囲よりも凹んだ所謂「額縁」と称される形状となっている。前面窓は中央で仕切られた2枚窓で、窓上中央に丸形の前照灯、窓下に角型の尾灯を配した。また、モ501形では側扉が前中扉配置となっていたが、他形式と乗車位置が異なり乗降に支障をきたしたことから本形式では既存車と同じ前後扉配置となっている。登場時の塗装は既存車両とほぼ同じで、デザートクリームとダークグリーンのツートンカラーであった。前述のとおりモボ111形の走行機器・台車を流用しており、駆動方式は釣り掛け駆動方式である。車内はロングシートで、製造当初より冷暖房完備かつ車椅子スペースを備えている。化粧板は薄緑色で、同時期に武庫川車両で製造されていた他の車両にも通ずる。ワンマン運転に対応し、乗務員室背後には整理券発行機・運賃箱を備えていた(整理券発行機は後に撤去)。1992年から翌年にかけて、モボ111形として残存していた6両すべてがモボ611形に更新されている。現在の京福電鉄では最も両数の多い車両であり、京紫色への塗装変更や台車・制御装置・集電装置の換装、一部車両における行き先表示のLED化、運賃表示器の交換、モケット換装等種々の変遷を経つつ、現在に至るまで主力車両の一翼として活躍を続けている。なお、モボ621形の落成の方が古いが、これは種車の相違によるもので、車両番号と製造順は必ずしも一致していない。
2014,09,16 西 院 |