デオ710形
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 1987年登場。旧型車が多く在籍し、冷房車も在籍していなかった叡山電鉄のサービス・イメージアップ及び輸送効率の改善を目的として導入された車両で、2両が武庫川車両工業にて製造された。デオ600形以来7年振りの新造車両であると共に、前年に京福電鉄から経営独立したばかりの叡山電鉄としては初めての新造車両でもある。全長15.7m、前後2つ扉配置の鋼製車体で、前面はデオ600形とは異なり、くの字に折れ曲がった形状の非貫通構造となっており、中央で分かれた二枚窓を備えている。製造当初は京福電鉄福井鉄道部の車両にも通じる、アイボリーとマルーンのツートンカラーであり、従来車の緑系の塗装とは一線を画している。なお、電動方向幕は叡山電鉄では初採用の機構となる。車体こそ新造ではあるが、同車の走行機器は当初元々鞍馬線系統で使用されていたデナ21形の走行機器類が流用されており、駆動方式は旧来どおり釣り掛け駆動方式となっていた。主制御器についてはデオ700系列共通で京阪260形のものが流用されている。車内はロングシートで、薄緑色の化粧板や青い座席モケット等、京福電鉄の車両にも似たカラースキームとなっている。なお、同形式は叡山電鉄の車両として初めて新製時より冷房を搭載しており、またワンマン運転にも対応し、料金表や運賃箱といった器具類も取り付けられている。デオ710形は、デオ720形と共に1987年12月より営業運転を開始し、同時に叡山本線にてワンマン運転を開始した。後に鞍馬線でも営業運転を開始し、現在は叡山本線を主体としながらも全線で運用されている。その後1992年に阪神で発生した主電動機と新製台車を搭載することでカルダン駆動の高性能車に変わった。現在も2両とも在籍しているが、2005年より白基調に緑ないし赤帯を巻いたものへと塗装変更された他、現在は主電動機が京阪5000系由来のものに再換装されている。

 2015,11,23 宝ヶ池


■Variation
 現在の711号車は、白を基調に鞍馬山や比叡山を表した緑色のラインが引かれた姿となっている。

 2015,11,23 宝ヶ池
 712号車は2016年3月より京都市左京消防署とのタイアップで、救急車・消防車を模したラッピングが施され「えいでんまとい号」という愛称が付けられている。2018年の検査出場して以降もこの姿を堅持していたが、2019年3月に後述の三陸鉄道カラーに変更された。

 2017,09,24 宝ヶ池
 三陸鉄道リアス線の開業を記念し、三陸鉄道の標準カラーに変更されたデオ712号車。2019年3月より一年間、この姿で運用される予定となっている。

 2019,07,15 宝ヶ池

2019/09/01