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1997年登場。ラッシュ時の輸送力増強及び市電のバリアフリー向上を目的に投入された車両で、日本では最初となる超低床連接車両である。ドイツはアドトランツで製造されていたブレーメン形と呼ばれる低床連接車両をベースとして日本向けに改良を施した車両であり、車体自体は新潟鐵工所にて製造されている。路面電車車両としては初めてIGBT-VVVFインバーター制御方式となり、初期に製造された車両はドイツ製の制御機器が搭載されている。車輪には車軸がなく、独立したものが1両に4輪、編成全体で8輪配置されているが、この点はブレーメン形車両の特徴をそのまま受け継いでおり、連接部に車輪を配置しないこと及び車軸による床面高さの上昇を防いでいること故に、全面低床化を実現している。また、乗降口に電動のリフトを備えることで、車椅子の乗車がよりスムーズとなっている。車内はセミクロスシートとなっているが、車内の通行を円滑にするべく座席数は24席となっている。また一部座席は跳ね上げ式になっており、跳ね上げると車椅子スペースとなる。尚、編成によってはモケットの色が異なっている。9700形は1997年8月より営業運転を開始し、一躍熊本市電のシンボルにまでなった。同車の成功は他地域の路面電車への超低床車両の導入を進める大きな契機となっており、鉄道史の観点からもその功績は計り知れないものがある。先進的な車両である点は鉄道友の会でも評価されており、1998年にローレル賞を受賞している。9700形は2001年までに5本が製造されており、一部の5000形が廃車されている。9700形は最初の1本を除きリース会社からのリースという形がとられている他、最終増備の2本は電装品が国産のものへと変更されている。現在は後継の0800形も運用に就いているが、熊本市電を代表する車両であることには変わりはなく、引き続き主力車両として活躍している。尚、熊本市電では連接車両はツーマン運転となっており、後部車両に車掌が乗務する形となっている。
2013,03,16 市立体育館前 |