モハ71形
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 モハ71形は、1954年から1957年にかけて、当時の国鉄を廃車となったモハ90形3両を譲受したものである。元々は1928年に日本車輌で製造された広島電気(1931年からは広浜鉄道、1936年の国有化後は可部線)の車両で、全長12m弱の半鋼製車両であった。国鉄モハ90形としては、当初より全室とも客室となっている車両が5両、荷物合造車からの改造車が2両という7両の陣容であったが、1945年の原子爆弾投下に伴い4両が大破・焼失し、そのまま廃車されている。残る3両(1両は中破からの復旧、2両は当時幡生工場に入場していた)は昇圧改造及び集電装置の換装(ポール→パンタグラフ)を経ながら引き続き可部線で使用されたが、その全てが熊本電鉄に譲渡される形となった。熊本電鉄ではクリームとローズピンクのツートンカラーとなり、小型車体故に上熊本〜北熊本間の区間運用を中心に使用されたが、当時の車両と比較して電動機出力が大きいこともあり、1979年までは貨物列車の牽引車としても充当された。なお、制御方式は製造当初から変わらない直接制御方式であった。貨物輸送廃止と同時期の1979年より廃車が始まり、500形や5000形に置き換えられる形で1981年までに全車が除籍された。最後まで車籍の残ったモハ71については解体されずに北熊本車庫に残り、機械扱いながら構内の入れ替え等に使用された。後にぶどう色一色に塗装され、更に2009年には熊本電鉄創業100周年を記念して特別整備がなされるなど、現在もなお可動状態で北熊本車庫にその姿を留めている。

 2018,11,25 北熊本