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1984年に路線開業80周年を迎えた土佐電気鉄道が、その記念事業の一貫として製造した車両が7形であり、「維新号」という愛称を有する。ほぼ同時期に登場した広島電鉄の100形と同じく、戦前の主力車両の車体を模した4輪単車であり、車体は全長8m級でオープンデッキ構造となっている。屋根はダブルルーフとなり、ダミーながら屋根上にポールを備えている(集電装置自体はビューゲルが取り付けられている)他、前面には救助網も備えられている。車体は鋼製を基調としているが、窓枠、鎧戸、仕切り扉など、一部に難燃木材が使用されている。なお、天井及び側窓から採光窓にかけての壁面は木目調のアルミデコラで、木板を組み合わせたような仕上がりとなっていることから木造に近い質感であり、総じて黎明期の主力車両である初代7形の内外装が再現されている。走行機器類は廃車発生品があてがわれているが、これはかつて在籍していた300形(初代)のうち、長期間に渡り車庫内に留置されていた321号車のものである。元々300形(初代)は初代7形の発生品を流用していたため、走行機器は本来の7形のものを搭載した形になっている。車内はロングシートで、ニス塗りの窓枠、白熱灯を用いた車内照明、木製の鎧戸等により、重厚感のある内装となっている。デッキ部分と客室部分は両開きの木製扉によって仕切られており、この扉は自動開閉が可能となっている。オープンデッキ構造ゆえ、ワンマン運転には対応しておらず、本車運用時は車掌も乗務しツーマン運転となる。この7形は1984年12月から営業運転を開始した。当初は高知駅〜桟橋通五丁目を中心に限定運用が組まれていたが、車両の構造上ワンマン化は不可能で、かつデッキ部にICカードリーダーを設置する箇所がないことから、2009年のICカード導入時に通常運用からは外れ、現在はイベント時の特別運転や貸切用途での運転が主となっている。なお、集電装置は前述のとおり長らくビューゲルであったが、2000年代前半にZ型パンタグラフに換装されている。
2025,10,04 桟橋車庫 |