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土佐電気鉄道では1989年に路線開業85周年を迎えたことを機に、更なる集客を図るため「世界の電車が走る街」というスローガンのもと、海外で使用されていた路面電車車両を譲受し、改造のうえで自社線で営業に供することが計画された。この計画により複数の国から中古の路面電車が譲渡されているが、本形式もそれにより導入されたものである。本車はノルウェーのオスロ市電で使用されていたB形と称される車両を出自としており、1939年に製造されたものである。全長は16m級で、この当時としては世界的に珍しく外板がアルミ製となっており、強度を高めるためにリベットにより接合されている。オスロ市電はループ線構造となっていたため、側扉は片側にしかなく片運転台構造となっているが、後部(運転台のない)側については特に鋭い流線形となっており、その特徴的な姿から現地では「金魚」という愛称がつけられていた。オスロでは1985年に運用を退き、このうち事業用として残っていた198号車が1991年に日本に輸入された。オスロ時代の車両番号がそのまま土佐電気鉄道での形式となっている。土佐電気鉄道での使用に際しては、軌間に加えて車両限界が異なっていたことから、鋼体を切り詰めて車体幅を200mm狭め2300oとする非常に大掛かりな改造が施されている。また、後部側についても運転台が新設され両運転台構造に改められ、灯具配置は前後とも上部に前照灯、窓下に尾灯2灯がそれぞれ配されている。前述のとおり元々片側には側扉は配置されていなかったが、配置されていなかった側にも既存のものと同様の扉が新設されている。台車はオスロ時代のものを軌間変更してそのまま用いている。車内は元々2+2人掛けの固定クロスシートとなっていたが、前述のとおり車幅を狭めたことから、固定クロスシートを維持しつつも2+1人掛けに改められている。天井には世界地図及びオーロラが描かれ、通常の車内照明の他に天井を照査するスポットライトも新設されている。中間扉付近はデッキのように区分けされており、この部分には吊り革も備えられている。その他、発車合図となる電鈴や、車内案内表示器、運賃箱等運行に必要な機器類が追設されている。なお、オスロ時代はクリーム色と水色のツートンカラーとなっていたが、土佐電気鉄道では紺色を基調にカラフルな水玉模様が配された独自塗装に改められている。本車は1992年5月から土佐電気鉄道で営業運転を開始した。高知駅前〜桟橋通五丁目間を中心に貸切、イベント用としても運用されていたが、2009年のICカード導入時には対応せず定期運用を離脱している。2012年にはICカードにも対応し、同年11月以降土日限定ながら高知駅〜桟橋通五丁目・枡形間の定期運用が復活したが、冷房装置を搭載せずワンマン運転に対応していないこともあり、2016年2月の高知駅〜枡形間直行便の日中休止に際して再度定期運用を離脱した。以降はイベント専用車という位置づけであり、特別運行や貸切用途で時折本線走行する程度となっている。なお、とさでん交通への移管後の2016年に、オスロ時代と同じ塗装に復元され、現在に至っている。
2025,10,04 桟橋車庫 |