80000系
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 2019年登場。従来「アーバンライナー」が担っていた名阪甲特急に専属で使用される車両として開発された特急型車両である。車体は普通鋼製で、深い光沢を湛えたメタリックレッドを基調に金色の帯が配された高級感のある塗装が採用された。前面形状は流線形で、運転台部分から前頭部にかけて絞られた形状となっており、スピード感が強調されたデザインとなっている。この艶やかな塗装とスピード感という車両イメージから、「ひのとり」という愛称がつけられており、同系列が用いられる列車名としても用いられる。制御方式は近鉄で初めてハイブリッドSiC素子を用いたVVVFインバーター制御方式が採用された。既存の特急型車両と同様、青山峠等の勾配区間でも安定して走行できるよう、抑速制動には回生ブレーキの他発電ブレーキも備えている。制御機器は三菱製と日立製が採用されたが、それぞれ車両番号が分けられており、三菱製が0番台(6両編成)及び50番台(8両編成)、日立製が10番台(6連のみ)と区分されている。いずれも主電動機には近鉄で初めて全閉自冷式の三相かご形誘導電動機が採用された。21000系の8連と異なり本系列の8連は固定編成となるが、検査時等のために中間車に独立した簡易運転台を備えており、4連に分割して構内入れ替えを行うことが可能である。なお、編成のMT比は両数を問わず1:1となる。車内は「アーバンライナー」と同様2クラス制となり、中間車はレギュラーシート、両先頭車はハイデッキ構造のプレミアムシートとなった。クラスを問わず、座席はクレイドルシートが導入されている他、全席にバックシェルが採用されており。気兼ねなくフルリクライニングが行える。レギュラーシートは2+2の4列配置だが、バックシェルの採用もありシートピッチは1160oとJRのグリーン車以上の広さを誇る。プレミアムシートはハイデッカー構造となっており、座席は1+2の3列配置で、シートピッチは50000系のプレミアムシートよりも50o広い1300oとなっている。座席生地は本革で、大型のヘッドレストやレッグレスト、読書灯、シートヒーター、コンセントなどの付帯設備を備える。リクライニングとレッグレストは電動操作となっており、総合的なアコモデーションは新幹線のグランクラスに肉薄する水準と言える。なお、50000系では全車に標準装備されていたフルアクティブサスペンションは、本系列ではデラックスカーにのみ搭載されている。この他パブリックスペースとして一部のデッキに大型窓を備えたベンチシート、両先頭車端部のデッキにはコーヒーメーカーや菓子類自販機を備えたカフェスポットが設けられている。長距離旅行客やインバウンド需要にも対応すべく一部車両の車端部には荷物ロッカーが設置されているが、大半のロッカーで交通系ICカードを電子キーとして扱うことができる。この80000系「ひのとり」は2020年3月のダイヤ改正より一部の名阪甲特急及び阪奈特急として一般営業運転を開始した。その後は4度に分けて投入が続き、2021年2月以降は名阪甲特急の全車が本系列に統一された。2021年までに6連8本、8連3本の陣容となった本形式は2021年の鉄道友の会ブルーリボン賞も受賞しており、名実ともに近鉄特急の新たなフラッグシップとして君臨した。前述のとおり名阪特急用に開発された車両のため、名阪甲特急及び間合いの阪奈特急以外は定期運用を持たないが、多客時等では伊勢志摩方面に直通する特急に臨時で充当されることもある。

 2022,05,18 烏 森


■Variation
 ブルーリボン賞受賞記念のラッピングが施された80000系。同年は同じく高級志向の特急型車両としてJR東日本のE261系もノミネートされていたが、それを抑えブルーリボン賞を受賞している。

 2022,05,18 烏 森
 日立製の電装品を搭載している80010番台の編成。三菱製のものと比べて主電動機の定格出力はやや下がっているが、車両性能に差はなく共通で運用されている。

 2022,07,13 伊賀神戸
 80000系のうち、8両を組む編成は80050番台に区分され、いずれも三菱製の電装品を搭載する。先代の21000系で8両を組む編成は、単独でも本線走行可能なMMユニットが連結されていたが、こちらは8両固定編成となっている。ただし中間車に簡易運転台を備えており、車庫内では編成を2分割した4両での走行も可能である。

 2022,07,13 鶴 橋
2022/07/17