|
19200系は、80000系の台頭によって余剰となった12200系のうち、1974年に製造された最終増備車4両1本を種車とし、大阪・奈良・京都の3都市を結ぶ観光特急用に大規模な改造を施したものであり、「あをによし」という愛称を持つ。外装は古都・奈良に因み、飛鳥時代の冠位制度である「冠位十二階」において最高位の色である紫色に艶を出した「紫檀メタリック」と呼ばれる塗装を基調とし、金色のラインが配されたものとなっている。また正面には吉祥文様の一つである「花喰い鳥」をモチーフとしたエンブレムが取り付けられた他、側面には東大寺正倉院の宝物をイメージしたラッピングが施されている。種車は元々貫通構造であったが、本車は改造時に扉が埋められ非貫通構造となった。また、前照灯は種車のものを引き続き使用しているものの、種別等・尾灯は排障器付近に移設され、5200系の更新車等と同様のものに改められた。側面は種車の面影を残す箇所もあるが、一部の側扉は埋められている。また、後述するサロンシートの2号車は側窓が大きく拡大されている他、バリアフリー対応となった3号車は側扉が移設のうえ引き戸に改められ、車端部には車いす対応トイレ等のサニタリースペースが集約されている。走行機器類は種車のものをそのまま活用しており、制御方式は抵抗制御方式となっている。車内はツインシート(1・3・4号車)とサロンシート(2号車)に大別される。前者は横1+1列で、片側が窓向き、もう片側がテーブルを挟んで対面するような座席配置となった。座席は家具メーカーにより特別に造られたものが採用されている。後者は1人掛けのソファシートが1区画に4席、大型テーブルを囲むように設置されており、各区画はパーテーションで仕切られ半個室様となっている。2号車の車端部には車販カウンター、1・3号車の車端部には大型荷物置き場、4号車車端部には本棚、ベンチシートを備えたライブラリーコーナーがそれぞれ設けられた。いずれの車両も全席にコンセントを設置した他、フリーWi-Fiも備えている。また、車内照明の造形や天井の模様、校倉造を模した車販カウンター、天平文様を描いた信楽焼の陶器など、車内随所に天平文化を彷彿とさせる要素が散りばめられる等、全体的に和を強調した車内デザインとなり、更に車内照明は暖色系で統一されている。この19200系は観光特急「あをによし」として、2022年4月より営業運転を開始した。午前中に大阪難波を発車し近鉄奈良経由まで京都まで走行したのち、京都〜近鉄奈良間を2往復。夕方に京都から近鉄奈良経由で大阪難波まで戻るダイヤが組まれている。
2022,07,13 大和西大寺 |