1420系
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 1984年登場。近鉄におけるVVVFインバーター制御方式の試作車両として製造された通勤型車両である。既に熊本市電8200形や大阪市営20系等、営業線上でVVVFインバーター制御車両は活躍していたが、本系列は架空線方式の直流1500V線区においては日本初のVVVFインバーター制御車両となった。VVVFインバーター制御方式黎明期での車両ではあるが、大阪線に配備されたことから青山峠付近の勾配区間を高速運転できる性能が求められ、その結果大出力の交流誘導電動機が導入された他、当時としては世界最高クラスの耐圧を有するGTO素子を使用した三菱製のVVVFインバーター制御装置が採用されている。電動機や制御装置は刷新されて従来車以上のメンテナンスフリーが図られているが、制動は回生ブレーキを併用しながらも従来車にあわせた電磁直通ブレーキとなっており、既存の抵抗制御車や界磁チョッパ制御車両との連結運転も行える。また、勾配線区での運用を考慮した抑速ブレーキや回生失効対策の発電ブレーキも備えている。同車の仕様が、後に3200系、1230系列や1430系列などの一連のVVVFインバーター制御車両へのベースとなっており、1420系は近鉄のエポックメーカーと言っても過言ではない。因みに近鉄のVVVFインバーター制御方式の通勤型車両は殆どが袖絞りの車体となっているが、本系列のみ袖が絞られていない。当初は1250系という形式が付けられていたが、1987年に量産型といえる1252系(後の1422系)の新造に伴い1251系に車番はそのままで形式変更され、更に1230系列の増備に伴い車番が被る恐れが出たことから1990年に現在の形式に改められている。1420系は試作車であることもあって登場以来1本のみの配置となっており、当初は限定的な運用が組まれていたが現在は大阪線を始め広範に使用されており、名古屋や鳥羽まで乗り入れることもある。尚、2008年に車体更新が行われており、同時に車内のモケットや化粧板の張替えが行われた他、新たに路面清掃装置が取り付けられている。

 2013,03,11 鶴 橋