120形
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 1982年の260系導入に伴う内部・八王子線の近代化に際しては、電動車は260系に統一されたものの、制御車の一部及び中間付随車については、経年の浅い既存車両を活用することで賄われることになった。これにより、モニ220形の中で戦後の1949年に製造された3両と1960年製のサ130形1両を種車に、各種改造を施した中間付随車がサ120形である。モニ220形を出自とする車両は電装品の撤去や正面の貫通化、内装材のアルミ材への変更、側窓のアルミサッシ化、車外スピーカーの設置、側扉の自動化、総括制御への対応などの大規模な改造が行われている。なお、モニ220形は荷物用扉を含め片側3か所扉が配置されていたが、荷物用扉を埋め既存の扉位置を活かしたため、変則的な扉配置となっている。側扉の窓は改造当初は大型であったが、後に小型の細窓に変更されている。サ130形を出自とする車両は元がトレーラーであることから電装品の撤去はないが、それ以外は前者同様大規模な改造が施されている(ただし、側窓は所謂「バス窓」のまま存置された)。因みにサ120形に改造されたサ133号車は、製造当初三重交通三重線(湯の山線、内部・八王子線の総称)に配置されていたものが、一旦北勢線に転じた後1978年に内部・八王子線に出戻るという異色の経緯をたどった車両でもある。いずれも塗装は260系と同じものに塗り替えられ、近代化によるイメージアップが図られている。その後は1989年のワンマン化、1994年以降の制動方式変更、2004年以降の塗装変更、2012年以降の転落棒幌新設と、260系とほぼ同じ変遷をたどった。モニ220形を出自とする3両は大規模な修繕が施されていたとはいえ近鉄末期の時点で製造から65年が経過しており、日常的に使用される電車では大手私鉄で最古参となっていた。2015年には全車とも四日市あすなろう鉄道に継承されたが、260系のリニューアルに際しては本車は新造車両に置き換えられることになり、2015年のサ123号車を皮切りに廃車が始まった。リニューアル完了に先立ち2018年に全車廃車されており、長年の活躍に終止符を打っている。

 2015,02,07 日 永


■Variation
 サ124号車のみ、サ130形が種車となっており他の3両とは形状が全くことなっている。貫通扉こそ増設されているが、丸みを帯びた車体に側面のバス窓など、サ130形の面影を最も色濃く残している車両であった。ク110形と同じく2017年に廃車されている。

 2015,11,21 日 永
2020/05/30