1600型
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 1957年に自社工場にて6両が製造された、横浜市電では最後となる新形式車両である。既に1500型が軽快なデザインを採用していたが、こちらは更に近代的な姿となり、丸みを帯びた全金属製車体が採用されている。前年に製造された大阪市電の3001形と意匠が似ている面もあり、大型窓を中心に左右に小窓を配した前面窓や大型方向幕を採用した点などは類似している。前照灯はこの時期には珍しくシールドビームが採用され、これは後に従来車にも反映されることとなった。側扉は4枚折り戸が採用され、運転台後部と車体中央部に設けられた。これにより左右で側扉の位置が異なり、折り戸を含めて同車の特徴となっている。車内はロングシートであるが、室内灯には大型の蛍光灯が採用され、より明るい車内となっている。軽快なデザインとは裏腹に走行機器類は従来から進歩はなく、むしろ制御方式は直接制御に戻るなど逆行している。ただし台枠にエアタンクを組み込むなど、乗り心地の向上を図った工夫も凝らされている。交通局の威信をかけて自社で製造された車両ではあるが、新造から年数の経っていない車両にもかかわらず、特徴となっていた折り戸や左右非対称となる車体構造が災いしてワンマン化対象から外れ、登場からわずか12年の1969年から翌年にかけて全車廃車されてしまい、市電全廃まで活躍できなかった。現在はトップナンバー1両が市電保存館に静態保存されている。

 2012,08,25 市電保存館