ケ10・ケ20形
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 箱根登山鉄道の鋼索線は、鉄道線と接続する強羅とロープウェイに接続する早雲山の間の凡そ1.2km、高低差209mを結ぶ路線で、箱根回遊コースの一角を占めている。その歴史は古く、当時の小田原電気鉄道が1921年12月に開業させたところにまで遡る。現在の近鉄生駒鋼索線に次いで2番目、関東では最も古いケーブルカー路線である。元々強羅にある別荘地や保養所へのアクセスも主眼におかれたため、沿線には4つの駅が設けられており、ケーブルカーの一路線としては最も駅数が多い。他の鋼索線の例に漏れず1944年には不要不急路線として休止され、線路等は供出されたが、1950年には営業を再開している。営業再開時点ではロープウェイは開業していなかったが、早雲山から芦ノ湖までのバスに接続し、箱根周遊ルートを構築した。1960年のロープウェイ開業後は大涌谷方面へのアクセスルートも担うようになり、輸送量は急増した。冒頭にも記載したとおり、現在に至るまで箱根回遊の一角を占める重要な存在となっている。戦後は概ね20数年で車両が代替わりしており、2021年現在の車両は戦前の車両から起算し5代目となる。

 5代目のケーブルカーは、4代目車両の台車などを流用し、車体を京王重機で製造したものである。先代車両に引き続いて2両で1組であり、強羅側からケ10形、ケ20形という形式が振られている。先代車両に比べてシンプルなデザインになっているが、塗装は上部を白、窓周りを黒とし、下部が編成ごとにバーミリオンはこね色と青色となっており、中間に金色のラインが配されている。側扉は先代車両が戸袋のある引き戸であったのに対し、こちらは外吊り式の引き戸となっている。行き先表示器はフルカラーLEDが採用されている。車内はケーブルカーとしては珍しくオールロングシートとなっている。これにより通路幅が拡大し、大型の荷物を持った乗客でも円滑な車内移動が可能なよう配慮されている。なお、乗車定員そのものは先代車両とほぼ同一(2両併せて乗客250人)である。先代車両に続き引き続き冷房装置も搭載しているが、所謂ラインフローではなく、一般的な埋め込み式のエアコンが搭載されている。天井5代目車両は2020年3月より営業運転を開始した。

 2022,08,18 強 羅〜公園下


■Variation
 強羅側に連結されているケ10形。前面のデザインは早雲山側とほぼ変わりはない。第1編成は「はこねバーミリオン」を基調とした塗装となっている。

 2022,08,18 強 羅〜公園下
 第2編成は箱根山から見る青空をイメージした青色を基調とした塗装となっている。

 2022,08,18 強 羅〜公園下
2022/09/13