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トラ55000形は1962年から製造が開始された全長8m級の無蓋車である。鉄道貨物の輸送力不足解消のため、既存の貨車に比べて自重を低減させつつ積載荷重を増加することが求められたことから、全長8m級ながら積載荷重を18tを可能とすべく開発された。既に17t積み無蓋車として1960年にトラ45000形が開発されており、同形式で採用されたプレス成型の妻板を採用しつつ、更に妻板もプレス成型の鋼板を採用、床板も含めて全鋼製とした点が特徴である(ただし、初期量産車のうち60両のみあおり戸が木製であった)。車両限界を見直し、あおり戸の高さを変えず車長を66o、幅を89o拡大することで容積を拡大したが、前述のとおりプレス金型の採用拡大や軽量化が図られた台枠の採用等の構造見直しにより、トラ45000形に比べると自重が約0.5t軽減されている。走り装置は当初より2段リンク式で最高時速は75q/hとなっている。本形式は1966年までに3205両が製造され、主に石炭や砂利等のバラ積み輸送に用いられた。1965年以降に製造された車両からはあおり戸のヒンジを増やす、転動防止用の埋木を床板に設置する等のマイナーチェンジがなされた。無蓋車初の全鋼製車としてバラ積み輸送に従事した本形式だが、保守面には難があり、あおり戸の変形や積載物由来の硫黄分や塩分による腐食により状態が悪化し、中には製造から10年程度で廃車になった車両も存在する。一部の車両はあおり戸の交換や補助ヒンジの増設、埋木の追設等の延命が施された車両や、改良型のあおり戸が試作された車両がいたものの、抜本的な改善までは至らなかった。18t積みを実現した本形式は、特に輸送力が求められる鉱石輸送等では優先的に用いられたが、その後のヤード集積型輸送の縮小、廃止等の余波を受け、国鉄分割民営化を待たず1986年までに除籍され、JRには継承されていない。公式の保存車としては2両が現存し、それぞれ小樽市総合博物館、那珂川清流鉄道保存会で保存されている。
2014,06,27 小樽市総合博物館 |