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貨物輸送の効率化の一環として、トラックをそのまま専用貨車に搭載し輸送する方式をピギーバック輸送と言い、車両限界の大きい欧米では実用化されていたが、狭軌線がメインの日本では車両限界の観点から困難を極めていた。国内でもピギーバックの実用化を図るべく、貨車の床高さを極力低くすることで、トラックを積載しても建築限界に抵触しないような貨車の開発づくりが行われた。その結果1974年にクラ9000形という試験車両を開発し、特別に開発された車輪直径350㎜の小径3軸ボギー台車「TR901」を搭載して試験が行われたが、コンテナ輸送の好調等を受け、一度開発は中止されてしまった。1980年台に入り再度ピギーバック輸送の試験を行うにあたり、前述の「TR901」台車を改造のうえ流用し、大型トラックが自走しながら貨車荷台まで乗り入れられるように設計された低床貨車の試作車を投入し、同車による現車試験が行われることになった。これにより幡生工場で製造された貨車がチサ9000形であり、1両のみ製造された。長物車の形式が付与されているが、実態は車運車の一種である。車体は凡そ17mで色は青15号に塗られており、台車間における床面高さを40㎝に抑えることで、荷重は限定されるものの大型トラックも積載することが可能となった。前述のとおり、トラックはランプウェイを介して自走で貨車に積載することができ、荷扱い時の業務軽減が図られている。最高時速は100km/hで、高速貨物列車への連結も主眼におかれている。なお、本形式は1両のみの存在であり、機関車次位に連結されることも想定されたことから、片側の連結器は通常の高さに設置されている（通常高さの連結器側も開閉は可能で、トラックの荷役を妨げるものではない）。本形式は1984年から3年間に渡り試験走行が行われ、特に1985年以降は東京～九州間のコンテナ列車に連結され。かつ大型トラックを積載した状態での試験が行われた。この運転時は側面に「ピギーバック号」というイラストを掲げていた。本車の試験により大型トラック用のピギーバック車両は実用化の道筋はついたものの、ここまで低床化してもトラック側の積載量に制限がかかることや運賃面での不安があることから本形式の量産化はなされず、ピギーバック輸送自体も1986年から4t集配トラックを積載する方式での運行開始となったため、ついに大型トラックのピギーバック輸送は日の目を見ることがなかった。試験終了後も車籍を維持した状態で広島車両所に留置されており、一般公開時には特徴的なその姿を見ることができる。 2017,10,21 広島車両所 |