タキ2600形
トップページ鉄道写真図鑑旧国鉄・JR貨車>タキ2600形
 タキ2600形は1953年から製造が開始された、30t積みの苛性ソーダ液(水酸化ナトリウム水溶液)用タンク車である。苛性ソーダ液は工業用途で広く用いられるが、強アルカリ性で腐食作用があることから、本形式ではタンク内にゴムライニングを施すことによってタンク体の腐食を防止している。また苛性ソーダ液は凝固点が高く10℃以下では凍結する恐れがあったことから、タンク周りに断熱材を巻きその外周を外板で覆う構造となっている。このためタンク車の中でもドラム缶と形容できる大型かつ平滑なタンク体を有しているが、これは他の苛性ソーダ液用タンク車にもほぼいえることである。同時期に同じ目的で製造された30t積みタンク車のタキ2800形もほぼ同一形態であるが、タキ2800形はタンク内のコーティングがエポキシ樹脂塗装という違いがある。このため後年は内部保護材の入換でタキ2800形の本形式への編入といった事例も多く見られた。いずれも荷役方式は化成品輸送では一般的なもので、車体中央のドーム上部にあるマンホールから輸送物を積載し、空気圧により同じくタンク上部から荷卸しする仕様であった。本形式は新造車の他、同型の他形式から用途変更あるいはタンク体新造により編入された車両も多く存在し、1979年までに522両のグループとなったが、これは苛性ソーダ液運搬用貨車の中では最も多い両数である。基本的な形態は前述したとおりだが、タンク体や外板の支持方法、上部にあるドーム、台枠、走り装置の形状等、細部が車両により微妙に異なっている他、一部は専用種別に苛性カリ(水酸化カリウム)が加わっている等、形態は多岐に及ぶ。なお、いずれもベッテンドルフ台車を搭載し、最高時速は75km/hとなっている。タキ2600形は半数以上がJR貨物に継承されており、長年各化学会社の工場最寄り駅等を常備駅として化成品輸送に従事したが、経年に加え移送のタンクコンテナへの切り替え及びタンクローリーへの切り替え、メーカーにおける製造品目の変化、それらに伴う専用線の廃止などで徐々にその姿を消していき、最後まで残った車両も酒田港駅から接続していた東北東ソー化学の専用線が2008年に廃止されたことに伴い運用を退いた。現在、解体を免れたタキ42642号車(タキ2800形由来)が那珂川清流鉄道保存会で保存されている。

 2017,06,24 那珂川清流鉄道保存会


2024/12/27