クモエ21形
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 クモエ21形は、17m級片運転台車両であったクモハ11形を種車として改造を施した救援車で、1963年から1970年までに10両が改造された。両運転台化がなされた他、機材や内蔵されたクレーンの搬出入のために大型の引き戸が追設された点は各車とも共通しているが、関東を中心としつつも全国各地に配置され、地区にあわせた改造が施された他、種車によっては前面貫通化が施された状態で改造された車両もあるため、その形態は1両ごとに異なっている。なお、種車は5両がクモハ11形100・150番台、5両がクモハ11形200番台で、同じクモハ11形の改造ではあるがそれぞれ出自が異なっている。神領電車区に配置されたクモエ21008は1975年に低断面のトンネル通過に対応するため低屋根化や集電装置移設等が施されクモエ21800に改番されている。制御車や客車が多い救援車のなかで、単独走行が可能な車両は比較的珍しい存在ではあるが、救援車は脱線事故や衝突事故など重大な運転支障がない限りは基本的に稼働せず、基本的には庫内に留置されていた。その後車体の老朽化等もあり、JRには引き継がれず1987年までには全車廃車されている。現在はクモエ21001が栃木県下野市の日酸公園にて静態保存されている。クモエ21001は日酸公園近隣の小山電車区に所属し、クモエ21形のなかでは唯一碓氷峠区間の通過に対応していた。旧型国電を出自とする車両の保存事例は多くなく、その中でも事業用車での現存車ということで、非常に貴重な車両といえる。なお、かつてはクモエ21800も佐久間レールパークにて静態保存されていたが、後に解体されている。

 2014,09,06 日酸公園


■Variation
 増設運転台側。こちらは非貫通構造でクモハ73形等に類似した形状となっている。なお、前面の形態は既設運転台、増設運転台を問わず、車両により大きく異なっている。

 2014,09,06 日酸公園
2020/05/19