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コキ110形は2001年に製造されたコンテナ車の1つである。同時期に製造されていたコキ106形に類似した車体を持ち、台車及び走行性能はコキ106形に準じ、最高時速110q/hでの走行が可能である。本形式はコキ106形と異なり、15フィートコンテナ用の緊締装置を搭載している点が特徴である。車体色は他のコンテナ車との識別のためにからし色一色に塗装されており、これも本系列を特徴づける要素の一つである。15フィートコンテナは、トラックの荷台大型化に伴い積載貨物の増加が求められた背景から開発されたもので、それまで主流であった12フィートコンテナに比べて容積が1.3倍増加している。本系列はその15フィートコンテナ向けの締結装置を追加で搭載しているため、15フィートコンテナをアダプタの類なく1両に4箱積載できる(既存のコンテナ車両には、アダプターを介して積載できたが、3箱までと制約があり輸送効率が劣った)。コキ110形は前述のとおり2001年に5両が日本車輌で製造されたが、本形式の売りでもある15フィートコンテナは既存の12フィートコンテナの牙城を崩すことができず、本格的な量産に至らなかったこともあり、本系列は5両のみの少数派のまま推移した。15フィートコンテナも2012年に全て使用が取りやめられている。ただし緊締装置以外はコキ106形と同等の車両であることから2024年現在もコキ106形と混用されており、全国のコンテナ貨物で使用されている。結果的に数千両あるコンテナ車の中でも僅か5両のみの「黄色い車両」という非常に珍しい存在となっている。
2024,09,19 京都鉄道博物館 |