ホキ9500形
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 ホキ9500形は1970年以降に製造された35t積みのホッパ車である。前年まで製造されていたホキ2500形が国鉄が直接保有していたのに対し、こちらは私有貨車として製造されている。このため車体形状・走り装置を含め、ホキ2500形の後期製造車とほぼ同一である。台車も軸受けをコロ軸受けとしたTR213形台車を搭載しており、ホキ2500形同様塗装は赤3号となっている。赤3号は私有貨車としては初採用の塗装であり、「赤ホキ」と称される所以となっている。当初製造された車両は当時の新東京国際空港建設に際して必要となる砕石を輸送する車両として製造されており、新東京国際空港公団の私有貨車となっていた(当初は公団のマークもつけられていたが、世相を反映して後に消されている)。この際は東武鉄道に乗り入れ葛生駅を発着するものもあった。ホキ9500形は一挙に193両が製造され、当初は砕石輸送に従事した。空港建設に係る砕石輸送は1977年に終焉を迎え、以降は専用種別を石灰石に変更し、文字通り「ホキ2500形の私有貨車版」としてセメント会社を中心に私有することとなった。これにより、関東地区の他中京地区や中国・九州地区でもその姿を見られるようになっている。国鉄が分割民営化されるとJR貨物に引き継がれたが、その後JR貨物で保有していたホキ2500形を私有化する動きが出始め、私有貨車となった車両は本系列に編入され、続き番号が付番されることになった。継続使用する車両については更新延命工事が施されたが、この際の車両不足を補う目的で1996年に3両が追加で新造されている。この時の新造車は識別のため19500番台の車号を有している。これらにより、本系列の総数は1999年まで増加し、261両までになっている。石灰石輸送自体は平成中期から縮小傾向で、関東地区からは1998年の奥多摩駅発の石灰石輸送廃止の時点で姿を消し、九州からは1996年に、中国地方からは2009年に同じく石灰石輸送列車の設定廃止と共にその姿を消し、その度に車両数は減少していった。2010年代以降は矢橋工業の私有車のみ運用が続けられており、西濃鉄道の乙女坂と名古屋臨海鉄道の東港の間を結ぶ専用貨物列車に充当されている。2011年からは本系列の直接の後継車となるホキ2000形が製造されて漸次置き換えられることとなったが、置き換えスピードは比較的緩やかであり、2024年の時点でも本系列との混用が続いている。

 2019,07,16 美濃赤坂


■Variation
 飛散防止用天蓋が取り付けられているホキ9500形。中京地区で使用されていたホキ2500形やホキ9500形は、名古屋や岐阜といった市街地を通過することから、石灰石由来の粉塵が飛散することを防ぐため、ホッパー上部にカバーが取り付けられた車両が大半を占めた。本系列以外にも関東地区で使用されたホキ34200形等でも見られたもので、現在のホキ2000形もほぼ同様の形態をとっている。

 2019,07,16 美濃赤坂
2024/12/26