HB-E210系
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 2015年登場。東日本大震災の影響で長期に渡り高城町〜陸前小野間が不通となっていた仙石線では、2015年5月の全線復旧に際し、東北本線と仙石線の線路が最接近する部分(塩釜〜松島、松島海岸〜高城町)に連絡線を新設し、併せて仙台〜石巻間を東北本線・連絡線経由で結ぶ運行系統「仙石東北ライン」を新設することとなった。東北本線と仙石線では電化方式が異なり、連絡線は非電化で敷設されたことから当該系統の列車は気動車で運行することになるが、それに際してはハイブリッド気動車を導入することになり、このHB-E210系が製造された。仙台方からHB-E211形・HB-E212形の2両で1編成を組み、車体は当時製造が進んでいたE129系に準じた軽量ステンレス製、20m級3扉の拡幅車体であり、同じく総合車両製作所の開発したステンレス車体「sustina」を採用している。E721系と異なりこちらはホーム嵩上げのされている仙石線を走行することから、床面高さ1130mmのノンステップ構造となっている。塗色は東北本線と仙石線のラインカラーである緑・青を基調に、沿線に点在する桜の名所から桜色があしらわれている。機器構成は基本的にキハE200形やHB-E300系に準じており、加速時は蓄電池からの電力を用い、時速30q/hを過ぎた時点でエンジンを併用し、力行時はエンジンで発電された電力と蓄電池からの電力を併用し、減速時は回生制動により蓄電池に充電を行う。同車で採用されている主電動機やエンジンはキハE200形と同一のものが、台車はキハE200形のものをベースに改良を施したボルスタレス台車が搭載されている。なお、走行を想定している線区に勾配区間が殆どないこともあり、セラジェットは搭載されていない。車内はセミクロスシートとなっており、レイアウトやカラースキームは同じ仙台地区を走るE721系に準拠しているが、こちらは気動車であるため排気管が設置されている他、ハイブリッドシステム用の機器室の設置等もあるため全く同一ではなく、座席数はこちらの方が少なくなっている。なお、機器室の側面にはハイブリッドシステムの状態を表示するモニタが取り付けられている他、仙台側となるHB-E211形には車端部に車いす対応型のトイレが設けられている。車内案内表示器は扉鴨居部にLED表示のものが取り付けられている他、車内照明は全てLEDとなった。なお、ワンマン運転は行われないことからワンマン化対応は準備工事にとどめられている。HB-E210系は2015年1月に最初の2編成が落成し、3月までに8編成16両の陣容となった。2015年5月の仙石線全線復旧と同時に営業運転を開始し、「仙石東北ライン」系統の全列車に使用されている。JR東日本のハイブリッド車両としては初の3扉車で、地方都市近郊の鉄道輸送に大きく寄与するという点が評価され、2016年に鉄道友の会のローレル賞を受賞している。なお、同車の所属は205系とは異なり小牛田運輸区であり、朝晩には送り込みを兼ねた東北本線内完結運用にも就く他、気動車である特性から2016年8月以降は一部の列車が石巻から石巻線に乗り入れ、女川までの直通運転を行っている。

 2015,12,31 仙 台
2016/09/22