H100形
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 2018年登場。製造から40年近くが経過し老朽化したキハ40形の置き換えと、それに伴う普通列車の体質改善を目的に製造された車両で、JR北海道ではキハ201系以来22年ぶりに投入された新形式の一般型気動車である。後述する電気式気動車の頭文字をとって「DECMO」という愛称がつけられている。本系列は同時期に開発・製造がすすめられていたJR東日本の電気式気動車GV-E400形をベースとして、更に極寒地対策が施された車両となった。車体は全長20mの両運転台構造で、車体形状は同じく両運転台構造のGV-E400形に酷似している。全車とも川崎重工で製造されており、同社の手掛ける軽量ステンレス車体である「efACE」を採用している。本形式は全て両運転台構造で、片運転台構造の車両は製造されていない。外装は「北海道の自然との調和」を表現しており、側面は萌黄色と白の帯が窓下に巻かれており、更にトイレ部分に大きくロゴマークが配されている。前面は黒を基調とし、窓下に萌黄色と警戒色である黄色の帯を巻いた。北海道特有の降雪事情に鑑み、前照灯は上部のみならず車体中央にも設置され、計4か所に配されている。本形式はGV-E400系と同様ディーゼル・エレクトリック方式の電気式気動車となっている。即ちディーゼルエンジンで発電機を駆動させ、発生した電力を主変換装置を介して主電動機に送電しモーターを駆動させる仕組みで、これにより従来の液体式気動車特有の変速機、推進軸、自在接手などを必要とせず、電車と共通の機器を用いることができるため、メンテナンス性の向上やランニングコストの低減が図られている。また、台車にはミュージェットが搭載され、勾配線区での安定走行や空転防止が図られている他、滑走再粘着機能を有することで、非常ブレーキ扱い時における路面損傷の低減に寄与している。車内はセミクロスシートで、ボックス席部分は片側が4人掛け、反対側が2人掛けとなっている。端部には車椅子スペース及び車椅子対応トイレ、反対側の端部近くには機械室が備えられている。こちらも基本的な仕様はGV-E400形に準じているが、座席モケットは優先席を除いてエメラルドグリーン系の色となり、袖仕切りは青色、側扉は萌黄色に塗装されているなど、カラースキームは「北海道らしさ」が強調されている。731系のようなエアカーテンは搭載されていないが、側扉は押しボタン開閉式が標準装備となり、更に全自動空調装置の搭載により通年して安定した室内環境を確保できるよう配慮されている。床面高さは1150oに抑えられキハ40形に比べて乗降の円滑化が図られた他、前述の車椅子スペース、トイレの設置によりバリアフリーの向上がなされた。なお、量産先行車はGV-E400形と同じく全ての側窓が内折れ式2段窓となっていたが、量産車は一部が固定窓に変更されている。また、量産先行車ではトイレにおむつ交換台が設けられていたが、量産車では省略されている。H100形は先んじて量産先行車が2両製造され、道内各線で試験が行われた後、2019年より量産車が苗穂運転所に投入され、2020年3月よりまず函館本線(札幌〜長万部間)で営業運転を開始した。その後は旭川、苫小牧、釧路と各運転所に配置され、既に普通列車の主力車両としての座が変わりつつある。現時点で函館本線小樽〜長万部間のワンマン運用と室蘭本線東室蘭〜長万部間の普通列車全てが本系列に統一され、宗谷本線旭川口でも本系列への置き換えが進められたほか、2022年のダイヤ改正からは根室本線新得〜釧路間の普通列車も本系列に統一される。。

 2021,10,22 小 樽


2021/10/23